キレーション(その他表記)chelation

岩石学辞典 「キレーション」の解説

キレーション

有機物起源の環状構造の中に鉄が保持されていることで,キレート剤(chelating agents)は植物によって鉱物から鉄分を抽出し,風化作用の速度を促進するのに役に立っている.キレート剤の中には分解した植物物質が多く,物質の移動が速くなる原因となり,土壌のポドゾル化作用を速くする[Ollier : 1969, Birkeland : 1974].生物や有機体によって起こされる化学風化を,特にキレーションということがある.キレート(chelate)はキレート化合物(chelate compound)ともいい,キレート環をもつ錯体総称である.キレート環とは1個の分子またはイオンのもつ2個以上の配位原子が金属原子(イオン)を挟むように配位してできた環構造をいう[長倉ほか : 1998].ギリシャ語のcheleは蟹のはさみに由来する.

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キレーション」の意味・わかりやすい解説

キレーション
chelation

キレート化ともいう。金属イオンキレート試薬反応して金属キレート化合物を生じる反応の総称。キレーションにより,遊離の金属イオンの濃度は著しく減少するので,この反応は多くの分析化学における定量法の基礎となるほか,工業的には金属イオンによる工業製品の分解,酸敗などの防止,医学的にはカドミウム水銀などによる中毒処置に広く利用されている。

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