日本大百科全書(ニッポニカ) 「フロリス」の意味・わかりやすい解説
フロリス
ふろりす
Frans Floris de Vriendt
(1519/1520―1570)
フランドルの画家。アントウェルペンに生まれ、同地で死去。ローマ帰りの画家ランベルト・ロンバルドLambert Lombard(1505/1506―1566)に学び、1540年生地の画家組合のメンバーとなる。その直後ローマへ行き、ミケランジェロの『最後の審判』の完成(1541)を体験し、イタリアの手法を熱心に研究した。1547年以後、生地で「フランドルのラファエッロ」として当時のマニエリスム的な画風を移入した。彼は、多数の弟子をもつ工房の組織化のみならず、奔放だが的確な筆触とベネチア風の豊かな色彩によって、ルーベンスの最重要な先駆者といわれる。また、兄コルネリスCornelis de Vriendt(1514―1575、通称Floris)は建築・彫刻家で、1540年代初めにローマに滞在し、ルネサンス建築と北方の破風(はふ)建築様式を融合して独特の装飾体系を創始した。これは16世紀後半「フロリス様式」として北方に広まった。
[野村太郎]