改訂新版 世界大百科事典 「ブッフ」の意味・わかりやすい解説
ブッフ
Leopold von Buch
生没年:1774-1853
ドイツの地質学者。プロイセンの富裕な貴族の子として,ベルリン近郊の邸宅に生まれ,フライベルク鉱山学校に入り,A.G.ウェルナーの教えを受けた。さらに,ハレ大学とゲッチンゲン大学に学んだ後,プロイセン政府で鉱山調査に従事し,ヨーロッパ各地も調査した。そして,師ウェルナーの水成説が自然の事実と合わないことから,友人A.vonフンボルトとともに地下の火山力が大地を動かし,山をつくるとする火山論者となった。そしてカナリア諸島の火山の調査結果から火山の形成について〈隆起火口説〉を説き,さらにアルプス山脈なども火成岩の地下への貫入による隆起で生じたと考えた。また地層を化石によって区分することができるとして,標準化石の概念を提唱し,多数の軟体動物化石の研究からドイツのジュラ系の3区分を行った(1839)。
執筆者:清水 大吉郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報