改訂新版 世界大百科事典 「ブラジルボク」の意味・わかりやすい解説
ブラジルボク
brazilwood
Caesalpinia echinata Lam.
ブラジル東部海岸森林地帯原産のマメ科の高木。材をブラジル木あるいはペルナンブコ木Pernambuco woodといい,ブラジリンbrazilin(C16H12O5)という赤色の色素を含む。樹は高さ30m,幹の直径1mになる。幹にはとげがある。葉は長さ2cmの小葉5~9対からなる2回羽状複葉。花は黄色で総状花序をなして咲き,長さ7.5cmほどの莢(さや)ができる。もともとはインド,マレーシア原産の近縁種スオウの材をブラジルBrasileと呼んで染料に用いたが,1540年にポルトガル人により南アメリカで本種が発見されてからは,本種がブラジルボクと呼ばれるようになり,本種の生えている地方をブラジルと呼ぶようになった。国名のブラジルもこの木の名にちなむ。心材は美しい紅色で,刻んで煮て色素を抽出する。染料や赤インクの材料のほか,昔は薬用としてマラリアに用いられた。また材は堅くて耐久性があるので,細工ものや工芸品にも使用される。名称はポルトガル語のbrasa(燃えるように赤い)に由来する。
執筆者:星川 清親
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報