マメ科(読み)まめか

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マメ科」の意味・わかりやすい解説

マメ科
まめか
[学] Leguminosae

子葉植物、離弁花類。種子植物中3番目に大きな科で、約650属1万8000種を含む。地球上の多様な環境にもっともよく適応し分化した植物群の一つで、熱帯から寒帯まで世界中に広く分布する。直立生またはつる生の草本、低木または高木。葉は互生し、複葉であるが、小葉が減数化して1小葉のものもある。基部に托葉(たくよう)がある。多くは葉柄や小葉などの基部にやや膨らんだ葉枕(ようちん)がある。オジギソウネムノキの就眠運動はこの組織の働きによる。

 花は普通は両性萼片(がくへん)は5枚、中部以下は合着して萼筒をつくる。花弁は5枚であるが、一部または全部が退化するものもある。雄しべは基本的には10本であるが、それ以下またはそれ以上のものもある。花糸は離生または合生する。雌しべは1枚の心皮からなる。子房は上位、1室で、胚珠(はいしゅ)は2個以上が普通である。胎座は側膜で、向軸側の縫合線につく。果実は豆果(とうか)(莢果(きょうか))で、乾いた紙質または木質の果皮(莢(さや))と種子とからなる。莢は普通は熟すと縫合線に沿って2片に裂開するが、まったく裂開しないものもある。種子と種子の間で果皮に節ができ、1種子を含む部分(小節果(せっか))ごとに分離するものがあり、これを節果という。種子は2枚の子葉が大きく発達し、胚乳をほとんど欠くものが多い。

 マメ科の分類は未完成であるが、普通は3亜科に分ける。ネムノキ亜科は花は放射相称で、つぼみでは萼片や花弁は両隣と重なり合わない。花弁は同形。ネムノキ、オジギソウなどが含まれる。ジャケツイバラ亜科は花は左右相称、花弁や萼片はつぼみのとき両隣と重なる。花弁はほぼ同形、向軸側のものは他の花弁より内側につく。ジャケツイバラ、サイカチハナズオウなどが含まれる。ソラマメ亜科の花は花弁が向軸側の1枚(旗弁(きべん))、側方の2枚(翼弁(よくべん))、下側の2枚(竜骨弁(りゅうこつべん))とそれぞれ形が異なり、これらが旗弁の長軸を軸に左右対称に並び、いわゆる蝶形(ちょうけい)花冠をなす。旗弁はもっとも外側につき、つぼみのときは他の花弁を包む。ソラマメ、ハギ、フジ、ノハラクサフジ、クララなどを含む。3亜科中もっとも分化し、種数も多い。

[立石庸一 2019年11月20日]

 APG分類でもマメ科とされ、およそ750属1万9500種が含まれる。

[編集部 2019年11月20日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マメ科」の意味・わかりやすい解説

マメ科
マメか
Leguminosae(Fabaceae)

双子葉植物バラ目の1科。全世界に分布し,熱帯に多産する。約 550属1万 3000種があり,キク科,イネ科に次いで大きな科とされる。葉は通常複葉で托葉をもつ。花は両性花で,マメ亜科では独特の蝶形花冠をもつが,ジャケツイバラ亜科ではやや左右対称の5弁花を平開し,またネムノキ亜科では花弁は小さく,筒形に癒合しておしべが長く伸びる。後2亜科をそれぞれ独立させてジャケツイバラ科 Caesalpiniaceaeとネムノキ科 Mimosaceaeとすることもある。これら3亜科を通じて果実は莢をなし,いわゆる豆果をつくる。マメ類として重要な農作物が多数あるほか美しい花をもつものも多く,園芸植物が多い。

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世界大百科事典(旧版)内のマメ科の言及

【根粒菌】より

…マメ科植物などの根に侵入してこぶ状の構造の根粒を作り,宿主と共生して窒素固定を行う細菌をいう。根粒菌のうちマメ科に共生するRhizobium属は種によって,それが共生するマメ科植物の範囲が限定され,宿主に対する親和関係で,アルファルファ,クローバー,エンドウ,インゲン,ルーピン,ダイズ,カウピー,レンゲの8群に分かれている。…

【豆】より

…広く食用にされているマメ科植物の種子,あるいは若い果実の総称。また,転じて,コーヒー豆のように小さくて丸いものを豆と呼ぶことがある。…

※「マメ科」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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