日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブルントラン」の意味・わかりやすい解説
ブルントラン
ぶるんとらん
Gro Harlem Brundtland
(1939― )
ノルウェーの政治家、初の女性首相。オスロ生まれ。オスロで国家医師試験に合格したのち、ハーバード大学大学院で公衆衛生学修士号を取得する。1966~1968年オスロ医療協議会副医師、1969年同医療副局長となる。1971年から労働党政権で環境大臣を2期務め、1975年に労働党副議長に就任する。1981年2月にノルウェーで初の女性首相となるが、同年9月の総選挙で労働党は敗退し、保守系連立政権と交代する。1987年に首相に返り咲き、その後ノルウェーの経済的難局や1994年のEU加盟国民投票での敗退などを乗り切る。1997年に労働党議長の座を辞し、後進に席を譲る。国連など国際的舞台でも活躍し、とくに環境と開発の関係を論じて持続的発展の概念を示した「国連ブルントラン報告」(1982年)はその後の環境問題に対する国際的指針となった。また1998年7月から2003年7月まで世界保健機関(WHO)の事務局長を務めた。
[大島美穂]