ブロジェット法(読み)ブロジェットホウ

化学辞典 第2版 「ブロジェット法」の解説

ブロジェット法
ブロジェットホウ
Blodgett's technique

水面につくった単分子膜をガラスや金属の面に移す方法で,I. Langmuir(ラングミュア)の共同研究者K.B. Blodgettが考案したものである(1935年).単分子膜では疎水基が上を向き,親水基が水に向かって配列しているが,これに対してガラスや金属の板を垂直に水中に挿入して引き上げるときに,分子の親水基が板に向かうように付着して引き上げられ,これをふたたび水中にさし込むと,今度は疎水基どうしが頭をつき合わすように付着する.こうして板を上下することによって,分子膜が2層ずつ対になって,固体面に移される.これを累積膜(built-up film)という.これは脂肪酸の二価金属塩の累積膜について,X線回折法によって確かめられている.溶液の条件によって,板を下げるときだけとか,引き上げるときだけ分子膜の付着が起こる場合がある.ガラス板と累積膜との屈折率および膜の厚さとの関係によって膜面による光の反射率が減じ,透過率が増大する条件を求めることができる.これがカメラのレンズに表面コーティングをする理由である.ただし,現在では機械的強度を与えるため,無機物質の蒸着膜が用いられている.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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