透過率(読み)トウカリツ

デジタル大辞泉 「透過率」の意味・読み・例文・類語

とうか‐りつ〔トウクワ‐〕【透過率】

波動媒質の境界面を透過するとき、入射する前の波の強度に対する透過したあと波の強度の比。透過度

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「透過率」の意味・わかりやすい解説

透過率
とうかりつ
transmittance

波動が物質を透過する前の強度と、透過したあとの強度との比。光学では、境界面で光が屈折(透過)する場合に入射光に対する屈折(透過)光の強度比を表す数値のことをいう。通常パーセントで表示する。透過率は、入射光の入射角、偏光状態および屈折(透過)前後の媒質の屈折率により変化する。垂直入射で大気中から入射光がガラスで屈折(透過)される場合(屈折率が低い媒質から高い媒質の表面反射される場合)、約92%の透過率になる。入射光の約8%が反射で失われるため、カメラのレンズなどでは光の透過率を上げるために反射防止膜をつける。

[山本将史 2022年4月19日]

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化学辞典 第2版 「透過率」の解説

透過率
トウカリツ
transmittance, transmissivity, permeability

】transmittance, transmissivity.光学的に異なる二つの物質の界面に光が入射したとき,界面を通って入射方向に進むエネルギーの割合を示す.これら物質の屈折率のほか,入射角,偏光面によっても値がかわる.透過光と入射光の電気ベクトルの振幅の比(振幅透過率ともよばれる)τの2乗で与えられる.

ここで,∥,⊥ は偏光面(電気ベクトル面)が入射面に平行および垂直の場合を意味し,α,βはそれぞれ入射角と反射角で,これらの間には屈折の法則が成り立つ.上の定義とは別に,むしろ慣例的に吸収層に対して実験的に得られる透過光と入射光のエネルギー比を,透過率と称することもあり,また吸収係数逆数をいうこともある.【】permeability.[同義異語]透過係数

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

岩石学辞典 「透過率」の解説

透過率

多孔質媒体内における流体の流れやすさを示す測度で,その媒体に固有の性質堆積物または岩石の中を,それらを損ねたり変化したりすることなく流体が通過する性質.浸透率の単位はダルシーdarcy)で,1cm3の流体が1秒に1cm2の断面積を1気圧で1cmの長さを通過することを1ダルシーという[Pettijohn : 1975].地下水を扱う時に用いられる透水係数は,浸透率とはやや定義が異なる[片山ほか : 1970].

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「透過率」の意味・わかりやすい解説

透過率
とうかりつ

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世界大百科事典(旧版)内の透過率の言及

【反射】より

… 入射波のうち反射されるのはその一部であり,残りは屈折して境界面を透過する。入射波に対する反射波の強度比を反射率reflectivity,入射波に対する透過波の強度比を透過率transmissivityという。反射は波の伝わるようすが波長に比べて急激に変化する場所で起こるので,導波管中のマイクロ波や管楽器中の音波などの場合,異なる物質との境界面でなくとも,導波路の継目から反射が起こる。…

※「透過率」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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