日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブームスラン」の意味・わかりやすい解説
ブームスラン
ぶーむすらん
boomslang
[学] Dispholidus typus
爬虫(はちゅう)綱有鱗(ゆうりん)目ナミヘビ科のヘビ。ブームスラングともいう。上あごの後方に溝牙(こうが)をもつ毒性の強い後牙類で、サハラ砂漠(西部を除く)以南のアフリカに広く分布し、全長1.5~1.8メートル、最大は2.2メートル。外形は無毒ヘビと変わらず、樹上生活に適応して細長い。体色は緑褐色からオリーブ褐色、黒色まで変異が多く、頸(けい)部を膨らませて威嚇すると、縞(しま)模様が現れる。開けた森林、サバナ、茂みに生息し、樹上でまっすぐ体を伸ばし枝に見せかけて、獲物を待ち受ける。餌(えさ)は小鳥、樹上性トカゲ、カエル、ネズミなどである。卵生。溝牙は大きく2、3本あり、毒性はマンバやコブラよりも強いとされ、神経系に作用するとともに出血性もある。著名なアメリカの爬虫類学者シュミットKarl P. Schmidt(1890―1957)は本種の咬症(こうしょう)により他界している。
[松井孝爾]