日本大百科全書(ニッポニカ) 「プチパ」の意味・わかりやすい解説
プチパ
ぷちぱ
Marius Petipa
(1818―1910)
フランス出身の舞踊家、振付者。晩年ロシアに帰化し、「ペチパ」ともいう。兄はロマンチック・バレエ時代のC・グリジの相手役ルシアン・プチパ。マルセイユ生まれ。ボルドー、パリなどで主演ダンサーを務めたのち、1847年ペテルブルグの帝室劇場に招かれ、『パキータ』『ジゼル』などを踊り、55年『グラナダの星』で振付者として第一歩を踏み出し、62年にバレエ・マスターとなった。『ファラオの娘』『ドン・キホーテ』『バヤデルカ』『眠れる森の美女』『シンデレラ』『白鳥の湖』『ライモンダ』など、生涯約50の作品をロシアに残した。『くるみ割り人形』の振付けの途中で病を得、イワーノフに作品の完成を任せて92年に引退。フランス・ロマンチシズムの伝統を基礎にロシア・クラシシズムの多幕物バレエをつくりあげた功績は大きく、現在世界各国で上演されている古典バレエの多くは、改訂版とはいえ彼の振付けを踏襲しているといってよい。
[市川 雅]