…たしかに故郷の南ドイツの地方色に濃く染められた,一見していかにものどかな感じの物語詩《ボーデン湖の牧歌》(1846),童話《シュトゥットガルトの皺くちゃ爺》(1853)などの作からは,そう見られてしかるべき特性がうかがわれる。また最もよく知られた小説《プラハへの旅路のモーツァルト》(1856)にしても,典雅だがいささか退屈なロココ風絵巻以上のものは見いだしにくいかもしれない。しかし表面ののどかさの下には,底知れぬ内部の深淵に似た世界が隠れていて,それが表現に一種の不透明な重層性を帯びさせている。…
※「プラハへの旅路のモーツァルト」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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