プルトス(読み)ぷるとす(その他表記)Plutos

日本大百科全書(ニッポニカ) 「プルトス」の意味・わかりやすい解説

プルトス
ぷるとす
Plutos

ギリシア神話の富の神。女神デメテルが、英雄イアシオンと「三度鋤(す)き返された畑」で交わって生まれた子であるという。畑の中での交合は、豊穣(ほうじょう)を祈る農耕儀礼反映と考えられ、大地の女神デメテルと、彼女に豊かな実りを与える畑の精霊であると同時に、雨の神格でもあるイアシオンとの間に生まれたプルトスは、したがって収穫の富と穀物の富の神であった。彼はもともとデメテルやペルセフォネの命に従って大地に富をもたらしていたが、のちにはあらゆる国に往来して、見境もなく富を与えたり取り上げたりする気まぐれな神にされてしまった。

[伊藤照夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「プルトス」の意味・わかりやすい解説

プルトス
Ploutos

ギリシア神話の富の神。大地女神デメーテルが,クレタ島の畑の上で,愛人イアシオンと交わって生んだ子とされ,デメーテルおよび娘のペルセフォネとともに,豊穣の角を持つ童児の姿に表わされることが多い。アリストファネス喜劇には,目が見えないため悪人ばかり富ませる盲目の神として登場する。

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