プレビッシュ理論(読み)プレビッシュりろん

百科事典マイペディア 「プレビッシュ理論」の意味・わかりやすい解説

プレビッシュ理論【プレビッシュりろん】

アルゼンチンの経済学者プレビッシュR. Prebish(1901年−1986年)の経済開発に関する理論。1950年代から1960年代にかけて国連ラテン・アメリカ経済委員会(ECLA,ECLAC),国連貿易開発会議UNCTAD)の要職にあった彼がその政策提言の根拠としたもので,発展途上国の経済開発は国内の諸要因のみならず,そのおかれた国際的な位置,とくに先進国との特定の関係によって制約されているとし,それを製造工業品に特化する中心国と一次産品に特化する周辺国の関係としてとらえた。彼はこの理論に基づき,途上国の工業化の必要を唱え,先進国に対しては製品輸入に対する途上国一般特恵,一次産品価格の安定を要請した。→南北問題

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世界大百科事典(旧版)内のプレビッシュ理論の言及

【ラテン・アメリカ】より

…すなわちブラジル,メキシコなど一部の国々を除き工業の発展が遅れ,各国経済の第1次産業への依存度が高いこと,近代的な生産構造が確立しておらず生産力水準・生産効率が相対的に低いこと,所得の不平等分配が著しくかつ高額所得者層の投資意欲が低いため国内資本形成が遅れていること,資本,技術,生産財供給において先進諸国への依存度が高いことなどで,対外的に脆弱な経済構造が温存されていることなどである。こうした低開発性の根源を究明する経済理論として第2次世界大戦以降ラテン・アメリカの中からプレビッシュ理論(プレビッシュ報告),従属論,構造学派の理論などが提起され,対外従属的な低開発経済を改める戦略として,工業育成,国内の資本形成,技術開発,企業家養成,土地改革を含む制度改革,域内協力などの政策が提起された。これらの開発をめぐる理論や政策はラテン・アメリカだけでなく他の開発途上諸国にも大きな影響を及ぼした。…

※「プレビッシュ理論」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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