化学辞典 第2版 「ヘキサボラン」の解説
ヘキサボラン
ヘキサボラン
hexaborane
【Ⅰ】nido-ヘキサボラン(10):B6H10(74.96).ジボラン,テトラボランの熱分解生成物から分離するか,Mg3B2とH3PO4との反応生成物から分留により取り出すか,または,LiB5H8とB2H6を反応させると得られる.無色でかなりの揮発性がある液体.五角両すいから1頂点を欠いたnido-型である.B1-B21.74 Å,B1-B31.75 Å,B1-B41.80 Å,B2-B31.79 Å,B3-B41.74 Å,B4-B51.60 Å.融点-62.3 ℃,沸点108 ℃.密閉器中室温では安定である.空気に触れると徐々に分解する.水とは,中性では反応が遅いが,酸性ではすみやかに反応し,水素を発生してホウ酸になる.条件によってかなり反応性がある.エーテル中,-78 ℃ でNaHと反応し,H2 を発生してNaB6H9になる.[CAS 23777-80-2]【Ⅱ】arachno-ヘキサボラン(12):B6H12(76.96).B5H11を25 ℃ 近くでゆっくりと不均化させて,B4H10とともに生成させる.無色の液体.頂点8個の三角形多面体から2個の頂点を除いた形で,arachno-型である.融点-82.3 ℃,沸点80~90 ℃.密閉器中,室温では安定であるが,空気に触れるとすみやかに反応する.水とは0 ℃ でも反応して水素を発生し,ホウ酸になる.ジメチルエーテルと反応してB5H9と(CH3)2O・BH3になる.[CAS 23777-80-2]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報