蒸留を何回もくり返して,沸点の差の小さい液体の混合物から純粋成分を分離する操作。分別蒸留または精留ともいう。くびの長いフラスコで蒸留をくり返しても行えるが,ふつうは分留管または精留管とよぶ,図のような特殊な装置を蒸留フラスコの先に連結して蒸留を行う。その際,分留管内では,おのおのの段階で単一蒸留が連続的にくり返されていると考えることができる。すなわち,気相は液相よりも低沸点成分に富むため,上昇するにつれて各段ごとに,流下してくる新しい液相との間に平衡が成立してさらに低沸点成分に富み,最後に上端から純粋な低沸点成分だけが留出する。逆に液相は上昇する気相との間に段ごとの平衡が成立し,流下するにつれて高沸点成分に富み,高沸点成分は後に残されて低沸点成分から分離される。すなわち,分留は原理的には固液ないし気液間の分配の反復によるクロマトグラフィー,液液間のそれを用いた向流抽出法などとまったく同じものと考えられ,これらと同じく,分留管の段数の多いものほど分離の能率は増加する。
水-エチルアルコール,水-塩化水素の系のように,共沸混合物を与える系は分留だけで完全に分離することはできない。石油その他有機化学工業で最も広く利用されている分離精製法で,大規模な場合は特別に設計された精留塔を用いる。
執筆者:藤本 昌利
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… なお,還流を行いながら蒸留を繰り返す分離操作を特に精留rectificationと呼ぶが,工業的には蒸留といえばほとんどの場合精留を意味する。また,適当な温度間隔をもって2種以上の成分の留出液を分け取る蒸留法を分留fractional distillationという。
[蒸留装置]
上述のように蒸留方法には回分蒸留と連続蒸留とがあり,工業的には後者が主として用いられ,前者は実験室で主として用いられている。…
… なお,還流を行いながら蒸留を繰り返す分離操作を特に精留rectificationと呼ぶが,工業的には蒸留といえばほとんどの場合精留を意味する。また,適当な温度間隔をもって2種以上の成分の留出液を分け取る蒸留法を分留fractional distillationという。
[蒸留装置]
上述のように蒸留方法には回分蒸留と連続蒸留とがあり,工業的には後者が主として用いられ,前者は実験室で主として用いられている。…
※「分留」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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