分留(読み)ブンリュウ(その他表記)fractionation
fractional distillation

デジタル大辞泉 「分留」の意味・読み・例文・類語

ぶん‐りゅう〔‐リウ〕【分留/分×溜】

[名](スル)分別蒸留ぶんべつじょうりゅう」の略。

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精選版 日本国語大辞典 「分留」の意味・読み・例文・類語

ぶん‐りゅう‥リウ【分留】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ぶんべつじょうりゅう(分別蒸留)〔稿本化学語彙(1900)〕
  3. 仏舎利尊崇功徳により、その数を増加させること。
    1. [初出の実例]「剰数粒分留事云々」(出典:東大寺続要録(1281‐1300頃)諸院篇)

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改訂新版 世界大百科事典 「分留」の意味・わかりやすい解説

分留 (ぶんりゅう)
fractionation
fractional distillation

蒸留何回もくり返して,沸点の差の小さい液体の混合物から純粋成分を分離する操作。分別蒸留または精留ともいう。くびの長いフラスコで蒸留をくり返しても行えるが,ふつうは分留管または精留管とよぶ,図のような特殊な装置を蒸留フラスコの先に連結して蒸留を行う。その際,分留管内では,おのおのの段階で単一蒸留が連続的にくり返されていると考えることができる。すなわち,気相液相よりも低沸点成分に富むため,上昇するにつれて各段ごとに,流下してくる新しい液相との間に平衡が成立してさらに低沸点成分に富み,最後に上端から純粋な低沸点成分だけが留出する。逆に液相は上昇する気相との間に段ごとの平衡が成立し,流下するにつれて高沸点成分に富み,高沸点成分は後に残されて低沸点成分から分離される。すなわち,分留は原理的には固液ないし気液間の分配反復によるクロマトグラフィー,液液間のそれを用いた向流抽出法などとまったく同じものと考えられ,これらと同じく,分留管の段数の多いものほど分離の能率は増加する。

 水-エチルアルコール,水-塩化水素の系のように,共沸混合物を与える系は分留だけで完全に分離することはできない。石油その他有機化学工業で最も広く利用されている分離精製法で,大規模な場合は特別に設計された精留塔を用いる。
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百科事典マイペディア 「分留」の意味・わかりやすい解説

分留【ぶんりゅう】

分別蒸留の略。蒸留を何回も繰り返して沸点差の小さい液体混合物を分離する方法。蒸留に際し,気相のほうが液相より低沸点成分に富むので,生成した蒸気を絶えず除去すると次第に液相に高沸点成分が濃縮される。一般には各温度範囲の留分分け取り,さらに各留分を蒸留して各成分を分離する。石油精製工業などで大規模に行う場合には精留塔が利用される。→精留
→関連項目分別結晶

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化学辞典 第2版 「分留」の解説

分留
ブンリュウ
fractionation

精留のことで,おもに石油工業で用いられる用語.分別蒸留または分割蒸留の略称として使われることも多い.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「分留」の意味・わかりやすい解説

分留
ぶんりゅう

分別蒸留」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の分留の言及

【蒸留】より

… なお,還流を行いながら蒸留を繰り返す分離操作を特に精留rectificationと呼ぶが,工業的には蒸留といえばほとんどの場合精留を意味する。また,適当な温度間隔をもって2種以上の成分の留出液を分け取る蒸留法を分留fractional distillationという。
[蒸留装置]
 上述のように蒸留方法には回分蒸留と連続蒸留とがあり,工業的には後者が主として用いられ,前者は実験室で主として用いられている。…

【蒸留】より

… なお,還流を行いながら蒸留を繰り返す分離操作を特に精留rectificationと呼ぶが,工業的には蒸留といえばほとんどの場合精留を意味する。また,適当な温度間隔をもって2種以上の成分の留出液を分け取る蒸留法を分留fractional distillationという。
[蒸留装置]
 上述のように蒸留方法には回分蒸留と連続蒸留とがあり,工業的には後者が主として用いられ,前者は実験室で主として用いられている。…

※「分留」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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