【Ⅰ】nido-ペンタボラン(9):B5H9(63.13).B2H6と H2 との混合気体を高温で反応させた後,冷却固化分離すると得られる.この方法は,ロケット燃料などの製造過程として過去に工業化された.現在では,テトラヒドロホウ酸塩が量産化されたので,これを原料として常温でいくつかの経路で合成されている.無色の液体.正八面体の1頂点を欠いた四角すいのnido-型である.B1-B21.7 Å,B2-B31.8 Å,B1-H末端約1.2 Å,B2-H(B…H…B架橋)約1.35 Å.融点-46.8 ℃,沸点60 ℃.空気に触れると発火する.無酸素状態では室温で熱的に安定で,150 ℃ で徐々に分解がはじまる.水とも長く煮沸して分解が起こる.NH3と反応して[(NH3)2BH2][B4H7]となる.単体ハロゲンと反応して,1-XB4H8(X = Cl,Br,I)となる.ルイス塩基共存下,アルキンと反応してカルバボランをつくる.アルカリ金属水素化物,アルキルリチウムなどと反応させるとB5H8-を生じ,これからさらにB10H14,メタラカルバボラン,μ-Hg(C5H8)2などを合成しうる.ほかのボランクラスター,カルバボラン,メタラボランなどの製造原料に用いられる.[CAS 19624-22-7]
【Ⅱ】arachno-ペンタボラン(11):B5H11(65.14).B2H6を加圧,加熱して反応させるか,MBH4とB2H6とを反応させると得られる.無色の液体.五角両すいから,2頂点を欠いたarachno-型である.B1-B21.77 Å,B1-B31.73 Å,B2-B31.75 Å,B3-B41.77 Å.融点-122 ℃,沸点65 ℃.空気に触れると発火する.密閉器中,室温でも不安定で分解する.水で分解してB4H10,H2 およびホウ酸になる.エチレンと反応してエチルペンタボラン(11)に,CO,PF3とそれぞれ反応してB4H8CO,B4H8PF3となる.[CAS 18433-84-6]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…化合物の命名法は明確に決まっているが,組成を表すには,分子中のホウ素原子の数をラテン語の接頭語とし,水素原子の数を括弧に入れたアラビア数字で語尾につける。たとえば,B5H9=ペンタボラン(9),B10H14=デカボラン(14)のように表す。特徴的な三中心結合は下式のように表される。…
※「ペンタボラン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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