改訂新版 世界大百科事典 「ヘミガルス」の意味・わかりやすい解説
ヘミガルス
hemigalus
パームシベットに似るが,背に太い横縞をもつ食肉目ジャコウネコ科ヘミガルス亜科Hemigalinaeの哺乳類の総称。マレー半島,スマトラ,ボルネオなどにシマヘミガルス(タイガーシベット)Hemigalus derbyanus(体長41~51cm,尾長25~39cm),ボルネオのキナバル山にクロヘミガルスH.hosei(体長60cm,尾長30cmほど。以上2種の英名banded palm civet),ラオスとベトナム北部にオーストンヘミガルスChrotogale owstoni(体長50~64cm,尾長38~49cm。英名Owston's palm civet)の3種があるが,クロヘミガルスは背の横縞を欠く。いずれも体が細長く,吻(ふん)がとがる。足はパームシベット同様,足裏を半分つけて歩く半蹠行(はんしよこう)性で第1指が地に着くが,足の裏の大部分は有毛。雌雄とも臭腺をもち,かぎづめに鞘はない。体は灰色ないし灰褐色,ときに大部分が黒褐色で,胴に黒色の太い帯状斑がある。森林に単独ですみ,ほとんど地上生だが,木登りがうまい。夜行性でミミズなどの無脊椎動物を主食とする。妊娠期間など不明な点が多く,飼育下のシマヘミガルスが1産2子を生み,12年ほど生存した記録がある。
→ジャコウネコ
執筆者:今泉 忠明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報