改訂新版 世界大百科事典 「パームシベット」の意味・わかりやすい解説
パームシベット
palm civet
体型はイタチ類に似るが,吻(ふん)がとがり,尾が長い食肉目ジャコウネコ科パームシベット亜科Paradoxurinaeの哺乳類の総称。アジア南部に5属6種,アフリカにナンジニア(キノボリジャコウネコ)1属1種があり,日本で知られるハクビシンもパームシベットに含まれる。また,ビンツロングも分類学的には含まれるが,通常パームシベットとは呼ばない。体長43~100cm,尾長40~66cm,体重1.5~5kg。体は胴が長く四肢が短く,前・後足に5指がある。雌雄とも肛門の前方に〈がまぐち〉に似た会陰囊と呼ばれる臭腺をもち,このため雄は半陰陽とまちがえられる。体は灰色から褐色,橙褐色で,暗色の斑点があるがふつうは不明りょうで,尾にも輪状紋を欠くものが多い。おもに森林に単独ですみ,樹上生,夜行性で,小動物を食べるが果実も好む。巣は樹洞や岩の間などにつくり,雌はそこでふつう年に2回,妊娠期間約2ヵ月の後,1産2~4子を生む。動物園などではマレーパームシベット(マレージャコウネコともいう)Paradoxurus hermaphroditusがよく飼育されており,22年5ヵ月生存した記録がある。
→ジャコウネコ
執筆者:今泉 忠明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報