日本大百科全書(ニッポニカ) 「パームシベット」の意味・わかりやすい解説
パームシベット
ぱーむしべっと
palm civet
広義には哺乳(ほにゅう)綱食肉目ジャコウネコ科ハクビシン亜科に属する動物の総称で、狭義にはそのうちの1種をさす。この亜科Paradoxurinaeの仲間は、アフリカ、アジア産の小形ジャコウネコで、アフリカ産のアフリカパームシベットNandinia binotata、本州、四国、台湾などに分布するハクビシンPaguma larvata、インドからボルネオ島まで分布するミスジパームシベットArctogalidea trivirgataなど7属9種がある。四肢ともに5指を有し、足底を半分ほど地面につけて歩く半蹠行(しょこう)性。多くは尾が長く、樹上性に適応しているが、地上でも活動する。小鳥や小動物のほか、果実も食べる雑食性である。
狭義にパームシベットとよばれる種はマレパームシベットParadoxurus hermaphroditusで、スリランカ、インドから、広く東南アジアに分布し、頭胴長48~59センチメートル、尾長44~54センチメートル。体毛の地色は灰褐色または灰黄色、背面に暗色の縞(しま)模様、肩、体側、大腿(だいたい)部に斑点(はんてん)がある。夜行性で、ほとんど樹上で生活するが、イエネズミなどをとらえるためにときに人家付近に現れる。交尾期以外は単独で暮らす。1産3子を樹洞や石の間に産む。
[吉行瑞子]