ヘロとレアンドロス(その他表記)Ta kath' Hērō kai Leandron

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヘロとレアンドロス」の意味・わかりやすい解説

ヘロとレアンドロス
Ta kath' Hērō kai Leandron

ギリシア神話の登場人物。セストスに住むアフロディテの女神官ヘロは,夜ごと対岸のアビドスからヘレスポントスダーダネルス海峡)を泳いで渡って会いにくる恋人レアンドロスを,塔にあかりをともして導く。しかし嵐の夜に塔のあかりが消えたことで,レアンドロスは波にのまれ,ヘロもあとを追って海峡に身を投げる。この悲劇はローマの詩人オウィディウスらによって伝えられ,のちにギリシアの詩人ムサイオスが悲劇的恋愛叙事詩とした。近代以降も,クリストファー・マーロー,J.C.フリードリヒシラー,フランツ・グリルパルツァーなどがこの悲劇を元に詩作し,ジョージ・ゴードン・バイロンの作品でも言及されている。

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世界大百科事典(旧版)内のヘロとレアンドロスの言及

【ムーサイオス】より

…生没年不詳。《ヘロとレアンドロス》と題する叙事詩体の悲恋物語(343行)の作者。内容は,アビュドスの若者レアンドロスが灯台を頼りに夜ごと海峡を泳ぎ渡り,セストスの乙女ヘロと逢瀬を重ねるが,嵐の夜,明りが消えて若者は溺死し,乙女は絶望して死ぬというもの。…

【レアンドロス】より

…それを知ったヘロも,海に身を投じて恋人のあとを追ったという。ヘレニズム時代に生まれたこの悲恋物語はローマ詩人オウィディウスの《名婦の書簡》によって後世に伝えられ,5世紀の叙事詩人ムーサイオスの《ヘロとレアンドロス》を介して,イギリスの詩人マーローの物語詩《ヒアローとリアンダー》(1598年に死後出版)を生んだ。またバイロンは1810年みずからアビュドス~セストス間を遊永し,3年後《アバイドスの花嫁》を公表した。…

※「ヘロとレアンドロス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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