改訂新版 世界大百科事典 「ベジャール一家」の意味・わかりやすい解説
ベジャール一家 (ベジャールいっか)
Les Béjart
17世紀フランスの俳優一家。森林監督庁の廷丁を父,下着商の娘を母に,生まれた10人の子どものうち成長した5人全員がモリエール一座に加盟。ジョゼフJoseph(1616-59)は〈盛名座〉旗揚げに参加,どもり癖に悩まされた。マドレーヌMadeleine(1618-72)は最初マレー座などで女優。モデーヌ伯との間に1子をもうけるが1642年ころモリエールと知り合い恋に落ち,彼を芝居の道に引き入れる決定的役割を果たす。生涯彼と苦楽を共にする。《タルチュフ》のドリーヌ,《守銭奴》のフロジーヌなどを初演。ジュヌビエーブGeneviève(1624-75)はエルベ嬢の芸名で劇団創立時より加わった。《女学者》のベリーズを初演。ルイLouis(1630-78)はけがのため足が悪かった。《守銭奴》のラ・フレーシュを演じた。アルマンドArmande(1642?-1700)はマドレーヌの娘ともいわれるが確証はない。62年モリエールと結婚,3児をもうける。《タルチュフ》のエルミール,《人間嫌い》のセリメーヌなどを初演。モリエールの死後,77年俳優ゲランと再婚。コメディ・フランセーズ創立に参加した。
執筆者:鈴木 康司
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報