ベジャール(読み)べじゃーる(英語表記)Maurice Béjart

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベジャール」の意味・わかりやすい解説

ベジャール
べじゃーる
Maurice Béjart
(1927―2007)

フランスのバレエ振付師。マルセイユに生まれる。ルボフ・エゴロワ、ベラ・ボルコワなどに学び、1945年にダンサーとしてデビュー。ヨーロッパ各地のバレエ団に在籍後、1957年パリにベジャール・バレエ団を創設した。『一人の男のためのシンフォニー』『プロメテ』『高電圧』を上演。1959年にベルギー王立劇場の委嘱で『春の祭典』を振り付け、いくつかの賞を獲得し、一躍ヨーロッパ・バレエ界のヒーローになった。1960年に彼のバレエ団はベルギー王立二十世紀バレエ団に発展的に解消した。振付け作品は多く、日本でもよく知られているものに『火の鳥』『ボレロ』『ロメオとジュリエット』『第九交響曲』『椿姫(つばきひめ)』『サロメ』『ファウスト』『ボードレール』『ニジンスキー・神の道化』『さすらう若者の歌』『ライト』『アダージェット』『ザ・カブキ』などがある。作品の特徴はトータル・シアター志向、意表をつく演出、強いオリエンタリズムなどにある。1970年に舞踊の研究センター「ムードラ」をブリュッセルに設立、87年には二十世紀バレエ団の本拠地をスイスローザンヌに移し、ベジャール・バレエ・ローザンヌと改称した。1991年から研究スタジオ「ルドラ」を結成し、小グループによる公演も行った。1999年(平成11)京都賞受賞。

市川 雅・國吉和子]

『前田允訳『モーリス・ベジャール自伝』(1982・劇書房)』『C・マソン写真、渡辺守章訳『ベジャールによるベジャール』(1984・新書館)』『A・リビオ著、前田允訳『モーリス・ベジャール』(1978・西田書店)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ベジャール」の意味・わかりやすい解説

ベジャール
Béjart, Maurice

[生]1927.1.1. フランス,マルセイユ
[没]2007.11.22. スイス,ローザンヌ
フランスの舞踊家,振付家。本名 Maurice-Jean Berger。哲学者ガストン・ベルジェの子。 14歳でバレエを始め,1945年デビュー,1947年ローラン・プチのバレエ・ド・パリに入団。イギリスやスウェーデンのバレエ団で踊ったのち,1954年ジャン・ローランとともにバレエ・ド・エトアール (のちにバレエ・テアトル・ド・パリに改称) を結成,1955年ミュジック・コンクレートによる実存主義をテーマにした作品『孤独な男のためのシンフォニー』 Symphonie pour un homme seulを振り付け,注目を浴びた。 1959年ベルギー王立モネ・オペラ劇場でイーゴリ・F.ストラビンスキー作曲の『春の祭典』を初演し,斬新な振り付けによって名声を博した。 1960年二十世紀バレエ団を創設,世界で最も有名なバレエ団の一つに育てた。次々と話題作を発表し,世界各地で上演。「現代の革命児」といわれ,特定の社会や時代の産物となっていたクラシック・バレエをあらゆる社会に通じる総合芸術として復興した。作品は演劇的,哲学的なものから宗教・祭式的な性格をもつものまで幅広い。 1987年ベルギーのブリュッセルからスイスのローザンヌに本拠を移し,ベジャール・バレエ・ローザンヌを結成,再出発した。代表作に,『ボレロ』 (1961) ,『ニジンスキー・神の道化』 (1971) ,『忠臣蔵』をもとにした『ザ・カブキ』 (1986) ,『ニーベルングの指輪』 (1990) などがある。 1967年の初訪日以来,12回の日本公演を行なった。 1999年京都賞受賞。

ベジャール
Béjart, Madeleine

[生]1618.1.8.
[没]1672.2.17. パリ
フランスの女優。モリエールに芝居の道を歩ませるきっかけとなった恋人としても知られる。 1643年以前すでに南フランスを中心に名を知られた女優であったが,モリエールの劇団では,特に 58年パリに来て以降,『タルチュフ』のドリーヌのような下女役など地味な役で満足し,一座のまとめ役としてモリエールを助けたばかりでなく,妹アルマンド (→ベジャール ) をモリエールと結婚させ,自分は身をひいた。

ベジャール
Béjart, Armande Grésinde Claire Elisabeth

[生]1642頃
[没]1700.11.30. パリ
フランスの女優。モリエールの妻。 M.ベジャールの妹。娘という説もある。 1662年モリエールと結婚後,モリエール嬢の芸名で初めて舞台に立ち,はなやかな芸風で人気を博した。夫の死後は劇団をまとめて,ゲネゴー一座と合併し,コメディー・フランセーズの基礎をつくった。

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