アルマンド(読み)あるまんど(英語表記)allemande フランス語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アルマンド」の意味・わかりやすい解説

アルマンド
あるまんど
allemande フランス語

舞曲組曲の最初あるいは2番目に置かれ、4分の4拍子(上拍(アウフタクト)から始まることが多い)の中庸の速度をもつ。この「ドイツ風の」の意をもつ舞曲の起源は不明だが、15世紀末の理論書ではバス・ダンスの一種として扱われており、本格的に流行するのは16世紀からである。初期のアルマンドは、3部分からなる素朴な2拍子系の踊りで、ステップも単純であった。パバーヌなどと同じく、後部に急速な3拍子の舞曲が続くことも多い。17世紀初頭のドイツに現れた器楽アンサンブル用の作品(シャインシャイトなど)はこの伝統を受け継いだものである。舞踊としてのアルマンドは17世紀に入るとまったく姿を消し、かわって様式化された舞曲として、組曲に欠かせない存在となる。この新しいアルマンドは、17世紀フランスのリュート様式から強い影響を受けており、短い旋律楽句が声部間で受け渡されるという対位法的手法が中心になっている。

[関根敏子]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アルマンド」の意味・わかりやすい解説

アルマンド
allemande

16世紀にドイツに現れた中庸の速度による落ち着いた2拍子系の舞曲。のち,フランスとイギリスに入って好まれたが,17世紀頃から,実際に踊るものから様式化された舞曲となり,しばしば組曲の第1楽章として用いられるようになった。中庸な速度の4分の4拍子で短いアウフタクトをもつ。バッハの組曲中のアルマンドはフランスのリュート奏法の影響を示している。

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