改訂新版 世界大百科事典 「ベニモズク」の意味・わかりやすい解説
ベニモズク
Helminthocladia australis Harvey
本州・四国・九州沿岸に広く分布し,低潮線下の岩上に生育する,粘質に富むが弾力性のある紅藻綱ベニモズク科の海藻。朝鮮半島,オーストラリア,インド洋にも分布する。体は円柱状ないし扁平で,広い部分は1~1.5cmになり,枝を各方面に出し,全長15~45cmになる。枝はかなり広開し,長い枝と短い枝が混在する。似た種類のホソベニモズクH.yendoana Naritaは長さ10~30cm,太さ0.3~1.2cmと体が小型であること,皮層をつくる細胞糸が約160μmの長さで,ベニモズクの約300μmより短いことなどで区別される。アケボノモズクTrichogloea requienii(Montagn.)Kütz.はベニモズク科に所属する粘質に富む柔らかい鮮紅色の美しい海藻で,暖流の影響の強い日本の南方海域に広く分布する。
執筆者:千原 光雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報