改訂新版 世界大百科事典 「ベラザノナローズ橋」の意味・わかりやすい解説
ベラザノ・ナローズ橋 (ベラザノナローズきょう)
Verrazano Narrows Bridge
アメリカ合衆国の東海岸,ニューヨークのブルックリンとスタテン島を結び,ザ・ナローズThe Narrows(上ニューヨーク湾と下ニューヨーク湾をつなぐ海峡)の上にかかるつり橋。1964年11月開通し,中央支間長1298mはその後,ハンバー橋が登場するまで17年間世界最長を誇った。ここに橋かトンネルをという考えは1920年代からあったが,48年トライボロ橋梁(きようりよう)トンネル公社が架橋計画を立案し,その後ニューヨーク周辺の交通事情を改善するために59年着工の運びとなった。この水路は世界有数の船舶航行の激しいところであるため,前述の長大な中央径間に加え,桁下の高さ69.5mが要求された。側径間を含めたつり橋の全長は2196m,取付道路を含む全橋長は5km近くに及ぶ。交通量が多いので,橋床はそれぞれ6車線の車道をもつ2階構造である。補剛桁はトラス構造,平均海水面上211mの高さの主塔は重厚な門形である。補剛トラスの総重量は5万1000t,これを支える主ケーブルは片側各2本で,それぞれは直径5mmのワイヤ約2万6000本よりなり,ケーブル総重量は4万t近くに達する。なお,橋名は1524年ニューヨーク湾を初めて発見したイタリアの探検家ベラツァーノGiovanni da Verrazano(1485?-1527?)にちなむ。
執筆者:伊藤 学
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報