ベリル(その他表記)beryl

翻訳|beryl

関連語 名詞

改訂新版 世界大百科事典 「ベリル」の意味・わかりやすい解説

ベリル
beryl

和名緑柱石と呼ぶ鉱物で,このうち美しいものは宝石として扱われる。本項では以下宝石について述べる。なお,鉱物としてのベリルは〈緑柱石〉の項を参照されたい。ベリルには,エメラルドアクアマリンモルガナイトヘリオドール,イェロー・ベリル,ゴッシェナイトがおもな宝石としてある。緑色のエメラルドと海水青色のアクアマリンはとくに珍重される。美しいピンク色ないしローズ色のモルガナイトmorganiteは,アメリカの銀行家で,有名な宝石収集家であったJ.P.モーガンの名にちなむ。ヘリオドールheliodorは黄色から帯緑黄色までの色をもち,ヘリオスhēliosはギリシア語で太陽を意味する。現在では黄色のものをイェロー・ベリル,黄金色のものをゴールデン・ベリルと呼ぶことが一般化したために,ヘリオドールの名は,おもに帯緑黄色の石に用いられている。無色のゴッシェナイトgosheniteはアメリカのマサチューセッツ州のゴーシェンGoshenで最初に発見されたために,この名がつけられた。なお,珍しいベリル宝石としては,赤色のものがアメリカのユタ州で発見されビクスバイトbixbiteの名称をもつ。一般的なベリルの産地はアクアマリンと同一地域で,ブラジルマダガスカルインドナミビア,スリランカ,ジンバブウェなどである。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のベリルの言及

【緑柱石】より

…ベリリウムの主要な鉱石鉱物の一つで,美しいものは宝石としても用いられる。成分Be3Al2Si6O18。少量のナトリウム,カリウム,リチウム,セシウムなどを含む。六方晶系に属し,六角柱状結晶として産する。透明~半透明でガラス光沢がある。色は緑色であるが,無色,青色,黄色,淡紅色の場合もある。へき開は不明りょうで,貝殻状断口を示し,もろい。モース硬度7.5~8。比重2.6~2.9。色と形とから緑柱石と名づけられた。…

※「ベリル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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