翻訳|aquamarine
緑柱石のうち、海青色で透明なものをさす宝石名。エメラルドに比べて無傷で包有物が少なく、また大形の結晶が産するため希少価値は乏しい。六角柱状の結晶として、おもに花崗(かこう)岩質ペグマタイト中に産する。おもな産地は、ブラジル、ロシアのウラル地方、ナミビア、マダガスカル島などで、日本では岐阜県中津川市苗木地方、茨城県桜川(さくらがわ)市山ノ尾、滋賀県大津市田ノ上山などで少量産したにすぎない。なお、緑色ないし黄色の緑柱石を加熱処理してアクアマリンに変えることができる。名称はその特徴的な色から、海水を意味するラテン語に由来する。3月の誕生石。
[松原 聰]
ベリル(緑柱石)Be3Al2(SiO3)6のうち,海水青色のものをいう。aquaは水,mareは海の意である。エメラルドも同じベリルの仲間で,共に貴重な宝石であるが,エメラルドはインクルージョン(内包される異物)の皆無の石はきわめてまれなのに対し,アクアマリンは透明清澄な大きな結晶で産出されるので比較的安価である。1910年には110.5kgのものが採掘された。アクアマリンは沈着,勇敢,聡明を象徴し,3月の誕生石となっている。またその色から海の精の宝物とも考えられ,順調な航海を祈る船乗りのマスコットの石でもある。アクアマリンの色は微量の鉄分によるが,その緑色みをとばして美しい海水青色にするため,ほとんどの場合に熱処理(450~500℃,1時間程度)が行われる。得られた青色は安定性と耐久性があり,天然石としての価値に影響はない。ブラジルが主産地で,マダガスカル,インド,ナミビア,スリランカ,ジンバブウェでも産出する。
執筆者:近山 晶
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…なお,鉱物としてのベリルは〈緑柱石〉の項を参照されたい。ベリルには,エメラルド,アクアマリン,モルガナイト,ヘリオドール,イェロー・ベリル,ゴッシェナイトがおもな宝石としてある。緑色のエメラルドと海水青色のアクアマリンはとくに珍重される。…
※「アクアマリン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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