改訂新版 世界大百科事典 「ホマルス」の意味・わかりやすい解説
ホマルス
Franciscus Gomarus
生没年:1563-1641
オランダの神学者。ゴマルスともいう。ブリュージュ生れ。オックスフォード,ケンブリッジ,ハイデルベルクに学び,1594年ライデン大学教授に就任。1603年アルミニウスが同大学教授として赴任すると,やがて両者間にカルバンの預定説をめぐる論争が起こり,アルミニウスがあくまで人間の自由意志を強調するのに対し,ホマルスは預定説の厳格な解釈を主張した。1609年アルミニウスの没後,その後任にいっそう強硬な論敵が選ばれたことに抗議して教授を辞任,11年ミッデルブルフの牧師,18年フローニンゲン大学教授に就任。その間論争は都市貴族と一般市民の政治的社会的対立を背景に激しさを加えた。ホマルス派(厳格カルバン派)の主導で開かれたドルトレヒト会議(1618-19)は,ホマルス説のうち神の救済預定がアダムの堕罪に先立つとの教説こそ採択しなかったものの,アルミニウス派を異端として公式に否認した。
執筆者:川口 博
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報