日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボグダーノフ」の意味・わかりやすい解説
ボグダーノフ
ぼぐだーのふ
Александр Александрович Богданов/Aleksandr Aleksandrovich Bogdanov
(1873―1928)
ロシア・ソ連の革命家、文芸理論家。本名マリノフスキーМалиновский/Malinovskiy。ハリコフ(ハルキウ)大学医学部卒業。1905年革命前からの古参ボリシェビキ。その著『経験一元論』(1904~1906)はレーニンの『唯物論と経験批判論』で批判される。ルナチャルスキー、ゴーリキーらとカプリの党学校に参加、独自の組織論に基づく未来社会論を展開した。十月革命後は「プロレトクリト」の理論的指導者となり、党、国家の統制外にプロレタリア文化運動を発展させようとして、ふたたびレーニンと対立した。ただし芸術遺産を無視したなどの批判はあたらない。SF小説『赤い星』(1908)、『技師メンニ』(1912)の著者としても知られ、とくに前者は原子力ロケット、オートメーションの応用される未来社会図を描いている。1926年モスクワに血液交換研究所を創設し、自身が人体実験の犠牲となって死去した。
[江川 卓]