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唯物論と経験批判論 ゆいぶつろんとけいけんひはんろんMaterializm i empiriokritizm

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

唯物論と経験批判論
ゆいぶつろんとけいけんひはんろん
Materializm i empiriokritizm

ロシアの革命家レーニンの主要哲学著作の一つ。副題「ある反動哲学についての批判的覚え書」 Kriticheskie zametki ob odnoj reaktsionnoj filosofii。 1909年刊。このなかでレーニンは当時社会主義的知識人にさえ広く行われていた E.マッハや R.アベナリウスらのいわゆる「経験批判論」を結局主観主義的な感覚論であるとして退け,それが弁証法的唯物論となんら関係ないことを主張。認識の根源は実践であり,実践によって客観的真理や相対的真理から絶対的真理への進展の可能性が擁護されるとした。また,物質の自然科学的概念と哲学的概念とを区別し,弁証法的唯物論は後者によるとした。さらにイデオロギーは本来階級的であり,哲学者の発言もすべて社会的闘争のどちらかの階級に必然的に属するもので,マルクス主義者は通常無意識的に行われている哲学者の階級的立場を,意識的に,自覚的に表現するものであるとした。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

唯物論と経験批判論
ゆいぶつろんとけいけんひはんろん
Материализм и эмпириокритицизм Materializm i empiriokrititsizm 

レーニン著。マルクス主義哲学、とくに認識論の古典。1908年2月から10月の間に執筆。第一次ロシア革命の敗北後、ロシア・マルクス主義陣営内に、弁証法的唯物論をマッハ主義(経験批判論ともよばれる)によって修正・歪曲(わいきょく)する潮流が現れた。マッハ主義者は、19世紀後半の自然科学上の諸発見、とくに放射能、電子の発見により、当時まで不可分割的で不変なものと考えられていた物質概念が揺らいだことをもって、「物質の消滅」とみなし、唯物論は非科学的で時代遅れの形而上(けいじじょう)学であると批判した。レーニンは、物質の哲学的概念を、個々の物質の形態(原子、電子など)や性質(質量、広がりをもつ)とは区別して、〔1〕感覚において与えられ、〔2〕感覚から独立しており、〔3〕感覚によって模写、反映される客観的実在であると規定し、弁証法的唯物論の基本命題を確立した。[杉浦秀一]
『寺沢恒信訳『唯物論と経験批判論』(大月書店・国民文庫) ▽佐野文夫訳『唯物論と経験批判論』(岩波文庫)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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