改訂新版 世界大百科事典 「ボンテボック」の意味・わかりやすい解説
ボンテボック
bontebok
Damaliscus dorcas
偶蹄目ウシ科の哺乳類。赤褐色ないし黒褐色の地に,頭部,臀部(でんぶ),四肢などに大きな白斑をもつ美しい南アフリカ産のアンテロープ。雌雄とも湾曲する長さ70cmになる角をもち,時速70kmに達する高速で走ることができる。体長140~160cm,肩高85~110cm,尾長20~45cm,体重80~100kg。木のまばらに生える草原に,かつては大地が赤くなるほどの大群で見られたといわれるが,激しく狩猟されたためと生息地の農地化の結果,1830年ころまでに,ほとんど絶滅寸前の状態に至った。現在,一部の保護区に約1000頭が生き残るのみとなっている。おもに朝と夕方活動し,草を食べる。繁殖期に雄はなわばりを形成し,3頭前後からなる雌の群れが,そこを訪れて交尾する。雌は妊娠期間7~8ヵ月で,9~10月に1子を生む。飼育下での寿命は21年。近縁種にトピ,ヒロラダマリスクスがある。
執筆者:今泉 吉晴
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報