偶蹄目ウシ科の哺乳類。ウマに似た長い頭部をもつ大型のアンテロープ。アフリカの大型草食獣の中でもっとも個体数の多い種の一つで,ときに1万頭を超える大群がみられる。肩部が腰部よりも明らかに高く上がった独特の体型をもち,雌雄ともに長い角がある。体色は全体に光沢のある赤褐色。顔に黒の斑紋がある。体長140~160cm,肩高100~125cm,体重80~100kg。セネガルからエチオピア,南アフリカ南部に分布し,まばらに木の生える草原にすむ。ふつう15~30頭の群れで生活するが,しばしば集まってシマウマやヌーとともに大きな混群をつくる。乾燥や日射に強く,主食である草に含まれる水分のみで長い期間生き抜くことができ,ときに砂漠にもすむ。交尾期は,おもに食物条件によって規定される。交尾期に入ると,雄は200~400haの一定の土地を,他の雄を排除して,テリトリーとして占有し,最高20頭までの雌の群れを受け入れる。雌は,妊娠期間235~241日で,1産1子を生む。誕生時の子の体重は12kg。本種の属するダマリスクス属にはほかに南アフリカに分布するボンテボック,ケニア東部,ソマリア南東部に分布するヒロラダマリスクスD.hunteri(英名Hunter's hartebeest)がいる。ライオンやハイエナなどの捕食獣のおもな獲物とされる。
執筆者:今泉 吉晴
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
哺乳(ほにゅう)綱偶蹄(ぐうてい)目ウシ科の動物。アフリカ西部から東部にかけて分布し、乾燥した草原に生息する。肩高100~127センチメートル、体重90~270キログラム。角(つの)は雌雄にあり、長さ60~70センチメートルに達する。体は濃い赤栗(あかぐり)色で、四肢の上部や顔に黒斑(こくはん)がある。普通、20頭ほどの群れで暮らし、ほとんど草だけを食べる。交尾期には雄は縄張りをつくり、雌と子はそれらの縄張りを自由に往来する。近縁種にアフリカ南部のササビーD. lunatus、ケニア中央部のヒロラダマリスクスD. hunteriがある。後者は個体数が1000頭以下とみられており、その絶滅が心配されている。
[今泉忠明]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…体は黄褐色,栗色,灰色などあり,白斑は左右の目の間にときどきみられる。すべてアフリカ産で,300~1000頭にもなる群れをつくるハーテビーストAlcelaphus buselaphus,独特の長い顔と短く太い角をもつコンジハーテビーストA.lichtensteini,アリ塚などに登って敵を見張る習性をもつトピDamaliscus lunatus,大群で季節的移動をするヌーConnochaetes taurinusなどの3属7種がある。(3)オリックス亜科Oryginae 大型で雌雄とも長い槍状,サーベル状,あるいは栓抜き状の角をもち,顔に腺はなく,尾は長く先に房毛がある。…
…体は黄褐色,栗色,灰色などあり,白斑は左右の目の間にときどきみられる。すべてアフリカ産で,300~1000頭にもなる群れをつくるハーテビーストAlcelaphus buselaphus,独特の長い顔と短く太い角をもつコンジハーテビーストA.lichtensteini,アリ塚などに登って敵を見張る習性をもつトピDamaliscus lunatus,大群で季節的移動をするヌーConnochaetes taurinusなどの3属7種がある。(3)オリックス亜科Oryginae 大型で雌雄とも長い槍状,サーベル状,あるいは栓抜き状の角をもち,顔に腺はなく,尾は長く先に房毛がある。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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