白斑(読み)シラフ(その他表記)facula

翻訳|facula

デジタル大辞泉 「白斑」の意味・読み・例文・類語

しら‐ふ【白斑】

白色斑点。白色のまだら。
「枕づくつま屋の内にとぐら結ひ据ゑてそが飼ふ真―の鷹」〈・四一五四〉

はく‐はん【白斑】

白色のまだら。白い斑点。しろまだら。
皮膚メラニン色素減少消失によって生じる白色の斑点。しろなまず。
太陽表面の、周囲よりも光輝いて見える斑点のような部分

しろ‐まだら【白斑】

ナミヘビ科の爬虫はちゅう類。日本固有の無毒の蛇。全長30~70センチで、灰褐色黒褐色の帯状斑紋がある。夜行性。本州以南に分布

しろ‐ぶち【白斑】

白色のぶち。地色の中に白のまだらがあること。

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精選版 日本国語大辞典 「白斑」の意味・読み・例文・類語

はく‐はん【白斑】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 白色のまだら。白い斑点や斑紋。白紋。
    1. [初出の実例]「苦木(にがき) 槐に似たり。皮淡黒、白斑多し」(出典:大和本草(1709)一二)
    2. [その他の文献]〔桂海虞衡志‐志獣〕
  3. 太陽光球面で、白色、斑状に見える部分。黒点に伴って周期的に出現するものと極付近に出現するものがあり、温度は摂氏約七千度で周辺の光球面より高い。白紋。
  4. 色素が脱けおちたために皮膚に白色の斑を生じる皮膚病。

しら‐ふ【白斑】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 白色のまだら。白い斑点。
    1. [初出の実例]「はしたかのしらふにいろやまがふらんとがへるやまにあられふるなり」(出典:江帥集(1111頃))
  3. しらふ(白斑)の鷹」の略。
    1. [初出の実例]「はしたかもけふやしらふにかはるらんとかへる山にゆきのふれれば」(出典:金槐和歌集(1213)冬)

しろ‐ぶち【白斑】

  1. 〘 名詞 〙 他の色の中に白のまだらのあること。白い色の部分の多いぶち。
    1. [初出の実例]「広場には白斑(シロブチ)の犬がのそのそと餌をあさって居た」(出典:田舎教師(1909)〈田山花袋〉二)

しろ‐まだら【白斑】

  1. 〘 名詞 〙 ナミヘビ科の無毒のヘビ。体長七〇センチメートルぐらい。背は淡灰褐色で頭部は黒褐色をし、全体に多数の黒褐色の横帯がある。夜行性であまり人目につかない。本州、四国、九州に分布する。

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改訂新版 世界大百科事典 「白斑」の意味・わかりやすい解説

白斑 (はくはん)
facula

望遠鏡を太陽に向け,白い紙の上に太陽の像を拡大して投影して見ると,太陽の縁近くに白く光った斑点が見えることがある。これが白斑である。とくに黒点が太陽の縁近くにあればその周囲には必ず白斑がある。しかし,太陽面の真ん中では見えない。地上の大気のゆらぎの少ないときに観測すると,白斑は差渡し200kmから700kmの小さな点の集合からなっていることがわかる。個々の小さな点の寿命は10~20分である。明るさは,0.5μmの波長の光で測定した場合に周囲の明るさに比べて1.3倍ほど明るい。温度でいうと周囲の約6000Kの温度に比べて200Kから600K高いものを見ていることになる。白斑には強い磁場が観測されており,その強さは数百から2000ガウスもある。白斑は目で見える光球層の浅いところに起こっている現象であるが,光球層の上の彩層でも明るい斑点として見え,彩層白斑と呼ばれている。白斑も彩層白斑も小さい粒状のものが集まって網状になって存在している。この網状の構造は超粒状斑と呼ばれ,寿命は約1日である。二つとも磁場に起因した現象に違いないのであるが,なにゆえに明るいかはまだ解明されていない。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「白斑」の意味・わかりやすい解説

白斑(皮膚)
はくはん

メラニン色素の異常によって皮膚に色素脱失を生じ、白くみえる状態(斑)のことで、色素脱失の程度により完全脱色素斑と不完全脱色素斑がある。一般に先天性白斑と後天性白斑に分けられる。先天性白斑には、脱色素性母斑、遺伝性対側性色素異常症、限局性白皮症などがあり、後天性白斑には、尋常性白斑老人性白斑、光線過敏症をおこす薬剤使用による白斑、せっけんや化粧品などに含まれる化学物質による白斑、湿疹(しっしん)や皮膚炎の治療後に生じる白斑などがある。

 なお、先天性白皮症は全身性または汎発(はんぱつ)性白皮症ともよばれ、これが部分的にみられるものが限局性白皮症である。

[染谷 通]


白斑(太陽)
はくはん

太陽面の縁近くに見られる白い斑点。その周囲より数百ガウスの強い磁力線が白斑の部分を貫いている。白斑は周りの光球面よりくぼんでいてその壁が明るい。したがって、斜めに見ると、明るさが目だつ。太陽縁で明るいのはそのためである。黒点近傍に見られるが、太陽活動の極小期には極域にも見られ、極白斑とよばれている。

[日江井榮二郎]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「白斑」の意味・わかりやすい解説

白斑
はくはん
leukoderma; vitiligo

立体的変化を欠き,境界鮮明な白色の皮膚病変で,色素の産生を欠くとか色素脱失,または局所性貧血に起因する。白斑を唯一の病変とする疾患で最もしばしばみられるものが,俗に白なまずといわれる尋常性白斑である。本症は,一定の神経支配領域に限局して片側性に生じる型と,大小種々の白斑が特に部位を定めずに対側性に多発する型とがある。原因として前者は自律神経障害説,後者は自己免疫説が有力視されている。白斑の形状は種々で,白斑部では毛髪もしばしば白毛化する。きわめてまれに,病変部に一致して発赤やかゆみが認められる。

白斑
はくはん
facula

肉眼で見て,太陽表面の特に光の強い部分。周縁のやや暗い部分で比較的はっきり観測され,黒点の周囲にみられることが多い。白斑の部分は,ほかより温度が数百度程度高いためにより輝いて見えるが,望遠鏡で細かく観測すると,太陽面そのものが一様な輝きではなく,小さな白い粒状の斑点におおわれ,それが数分の寿命で生成消滅を繰返している。白斑はその白粒の多く集った部分である。

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百科事典マイペディア 「白斑」の意味・わかりやすい解説

白斑(医学)【はくはん】

皮膚の色素脱失斑。尋常性白斑(しろなまず)が代表的。そのほか梅毒性,ハンセン病性の白斑,海水浴後や皮膚病跡に生じる白斑などがある。

白斑(天文)【はくはん】

太陽表面で特に明るく白っぽく見える斑点。太陽周縁付近の暗い所でよく目立つ。極付近に現れるものと黒点帯に現れるものと2種あり,後者のほうが面積も大きく寿命も長い。黒点と同じく太陽活動と密接な関係にある。白斑は光球上層部に起こる現象で,温度は周囲の光球より200〜600℃ほど高い。
→関連項目光球

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普及版 字通 「白斑」の読み・字形・画数・意味

【白斑】はくはん

白い斑点。

字通「白」の項目を見る

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動植物名よみかた辞典 普及版 「白斑」の解説

白斑 (シロマダラ)

動物。爬虫類

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世界大百科事典(旧版)内の白斑の言及

【眼底】より

…いずれも黄斑中心窩直下で出血が起こると強い視力障害が起こる。
[網膜の混濁]
 出血と並んで網膜のおもな病変は,透明性の障害,すなわち滲出物や混濁であり,白斑exudateともいう。白斑は軟性白斑と硬性白斑に区別される。…

※「白斑」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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