ドイツ連邦共和国基本法の略称。もとは西ドイツの憲法典。1949年,西側占領地区における国家建設に際し,憲法制定会議は,将来実現されるべき国家再統一までの暫定的な憲法として「基本法」の名称を選んだ。だが,90年の東西ドイツ統一は,西ドイツの基本法を旧東ドイツの地域にも拡大して適用する形で行われた。ドイツ人全体が改めて新憲法を制定したのではなく,暫定とされた憲法が恒久化されたわけである。連邦制と議会制民主主義を基本としているが,施行後,国防軍の設立(56年)や緊急事態法の制定(68年),あるいは連邦制の根幹にかかわる財政制度改革(69年)など,時として大規模な改正も行われてきた。国家行為全体について基本法との適合性を判断する連邦憲法裁判所や,連邦首相の地位を強化する建設的不信任投票の規定などがその特徴である。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
出典 旺文社世界史事典 三訂版旺文社世界史事典 三訂版について 情報
…明治憲法における戒厳令(14条)や非常大権(31条)がそれにあたるとみられる。西ドイツのボン基本法(憲法)は,1968年の改正によって,〈防衛事態〉や〈緊迫事態〉等の緊急事態の類型に応じて,国家緊急権に関する詳細な規定をおいた。またフランスの1958年憲法16条は,緊急事態における大統領の独裁的権力を認めている。…
…こうして,国政情報から日常生活の情報まで,自由に入手することを求める〈知る権利〉は,最も重要な現代的人権として認識されるようになった。
[沿革]
ヒトラー独裁の極端な言論統制のもとで無謀な戦争を引き起こしたドイツ国民は,第2次世界大戦後制定されたボン基本法(憲法)の5条1項で〈すべて人は,その意見を言語,文書,図画において自由に発表する権利を有する〉と定めたのち,〈一般的に近づくことのできる情報源から妨げられることなく知る権利を有する〉とした。また,アメリカでは連邦憲法修正1条が言論・出版の自由を保障しているにもかかわらず,第2次大戦中から戦後にかけて,国益の名のもとに政府による情報の抑圧が増大した。…
…ここには,19世紀末以来の法実証主義的法治国家論の支配の中で衰微していた自然法思想の復活の現象が見られる。また西ドイツの憲法典たるボン基本法(1949)も制定当初は抵抗権規定はもたなかったが,1968年6月の大改正で基本法20条に4項として追加された。それによると,自由で民主的な基本秩序を〈排除せんと企てるすべての者に対し,他の防衛手段がない場合には,すべてのドイツ人は抵抗権を有する〉とされるが,ここでは,その文言からして,公権力に対してだけでなく,既存の秩序の排除を企図する市民およびその集団に対しても,この権利が行使されうることになり,いわゆる〈戦う民主制〉の性格があらわれている。…
※「ボン基本法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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