日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボーローグ」の意味・わかりやすい解説
ボーローグ
ぼーろーぐ
Norman Ernest Borlaug
(1914―2009)
アメリカの植物病理学者、遺伝学者。アイオワ州クレスコに生まれる。ミネソタ大学で植物生理学を学び、1942年に博士号を取得、デュポン・ド・ヌムール財団研究所で勤務したのち、1944年メキシコに行き、メキシコ政府とロックフェラー財団の協力のもとで進められていたコムギの育種および生産計画に参加した。のちに国際トウモロコシ小麦改良センターがメキシコ・シティに創設されると、そこで世界コムギ改良計画の総責任者に就任した。ボーローグとその研究チームは、コムギの品種改良に努め、メキシコの矮性(わいせい)コムギを改良して非常に高い収穫をあげる品種(メキシコ小麦)をつくりだしたが、これは従来のものより数倍の高収穫をもたらし、メキシコをコムギの輸入国から輸出国に押し上げた。その後、世界各地で農作物の品種改良の指導を行い、1960年代なかばに穀物生産量の驚異的増大をもたらした「緑の革命」の中心人物となった。1970年には、世界の食糧問題に多大な貢献をしたとしてノーベル平和賞が授与された。1990年(平成2)大阪で行われた国際花と緑の博覧会(花博)に招待され、来日している。
[編集部]
『レナード・ビッケル著、仙名紀訳『飢餓への挑戦――ノーマン・ボーローグと緑の革命』(1975・TBS出版会)』