改訂新版 世界大百科事典 「ポルティナリ」の意味・わかりやすい解説
ポルティナリ
Cândido Torquato Portinari
生没年:1903-62
ブラジルの画家。ニューヨーク万国博ブラジル館(1939),ベロ・オリゾンテの聖フランシスコ教会(1941),ニューヨークの国連本部ビル(1950年代半ば)などの壁画を制作し,彼の成功はサッカーのペレと並んで現代の神話といわれる。サン・パウロ州で13人兄弟の末子として生まれ,幼少時からコーヒー園で働いた。15歳のときリオ・デ・ジャネイロに出,美術学校で学んだ。1928年より2年間の奨学金をもらいパリへ留学。キュビスム絵画に感激したが,帰国後にメキシコの壁画運動の影響を受けた自己の様式を生み出した。強固な形体の中にブラジルの自然と大地の力強さや荒々しさ,劣悪な環境の中で生きる貧しい黒人の生活の現実を訴え,女性たちの太い足,男たちの頑強な肉体,動物たちの愛らしくまた悲しげな表情を泥臭い色と太陽で焼けただれたような肌合いの画面に定着させた。
執筆者:加藤 薫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報