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訴え うったえ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

訴え
うったえ

民事訴訟法上,原告被告に対する請求当否について,審理判決を求める意思を特定の裁判所に対して表現する訴訟行為。刑事手続上の公訴に相当する。訴えには求める請求の性質によって,確認の訴え給付の訴え形成の訴えの別がある。 (1) 訴えの提起 訴状という書面を作成して裁判所に提出する方式によって行なわれるのが原則である。ただし,簡易裁判所に対する訴えの提起は口頭でもできる。 (2) 訴えの併合 一つの訴訟手続内において数個の請求が審判客体となっている場合をいう。客観的 (物的) 併合と主観的 (人的) 併合に分かれる。 (3) 訴えの変更 訴えを提起したのちに,その訴訟上の請求を変えること。請求の変更が許されるためには,最初の請求の趣旨または請求の原因,あるいはその双方を変更する場合であることを要する。単に請求を理由づけるための攻撃方法である主張を改めることは訴えの変更ではない。

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デジタル大辞泉の解説

うったえ〔うつたへ〕【訴え】

訴えること。「訴えを起こす」
裁判などを申し立てること。ある者が他の者または行政庁を相手として、民事訴訟行政事件訴訟を起こして特定の権利主張をし、その当否について裁判所の審判を求める申し立て。→公訴

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百科事典マイペディアの解説

訴え【うったえ】

裁判所に民事・行政紛争の解決を求める申立て刑事事件公訴に対応する。訴えの提起は原則として書面(訴状)によるが,簡易裁判所では口頭でもなしうる。訴えには,その内容によって確認の訴え給付の訴え形成の訴えの3種がある。
→関連項目棄却起訴原告差戻し処分権主義人事訴訟請求訴権民事訴訟

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世界大百科事典 第2版の解説

うったえ【訴え】

民事訴訟(行政訴訟を含む)において,被告を相手とした一定の主張(請求)の当否について裁判所の審理判断を求める原告の申立てをいう。刑事訴訟における公訴(起訴)に対応する。 裁判所がみずから進んで事件を探し出し訴訟を開始するということはなく,原告からの訴えがあって初めて裁判は開始される。これを〈訴えなければ裁判なし〉という。刑事事件では国家の関心が強く,検察官をして公訴を提起させるが(刑事訴訟法247条),民事事件では,家事事件の一部を除いて,訴えを提起するか否かは私人の自由にゆだねられる。

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大辞林 第三版の解説

うったえ【訴え】

訴えること。
〘法〙 私法上の争いや行政事件訴訟について裁判所に審判を求める申し立て。ある者(原告)が他の者(被告)を相手どり、自己の主張の法律的当否について特定の裁判所に審判を要求する行為。刑事訴訟法上の公訴にほぼ相当する。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

訴え
うったえ

民事訴訟において、原告(訴える者)が被告(訴えられる者)を相手とし、第一審の裁判所に対して、一定の権利または法律関係の存否の主張(訴訟上の請求)について審理および判決を求めるための行為をいう。行政訴訟も同様であるが、刑事訴訟では公訴にあたる(公訴の提起が起訴である)。
 「訴えなければ裁判なし」という法諺(ほうげん)にもみられるように、民事訴訟では原告の訴えがなければ、裁判所はその事件について審理を始めることはできないし、また原告が申し立てた範囲内の事項についてだけしか審理・判決できないのが原則である(民事訴訟法246条)。訴えの提起から判決を得るまでの裁判所による手続の全体が訴訟である。訴えが提起されると、裁判所はこれに対しなんらかの応答(裁判)をしなければならない制度上の義務を負うことになる。しかし、すべての訴えに対して原告の請求を認容したり、あるいは棄却する判決(本案判決)をしなければならないわけではない。本案判決をするためには、その前提として一定の要件(訴訟要件)が備わっている適法な訴えでなければならない。この要件が欠けている場合には、訴え却下の判決(訴訟判決)がなされてしまう。これを俗に「門前払いの判決」という。訴えは、原告の訴訟上の請求の態様に応じて、給付の訴え、確認の訴え、形成の訴え(創設の訴え)の三つに分けられる。[内田武吉・加藤哲夫]

給付の訴え

特定の給付請求権の存在を主張する訴えである。ここで給付とは、被告に金銭の支払い、物の引渡し、家屋の明渡しなどの作為や、何々するなという不作為を求めることである。古くから認められている訴えで、今日でももっとも多く利用されている。給付の訴えにおいて原告が勝訴した場合、被告がその判決どおりの履行をしないと、強制執行によって給付請求権の実現を図ることができる効力(執行力)を有するのが特徴である。この裁判の手続全体を給付訴訟という。[内田武吉・加藤哲夫]

確認の訴え

特定の権利または法律関係の存在あるいは不存在を主張する訴えである(例外として民事訴訟法134条の証書真否確認の訴えがある)。たとえば、「この建物は原告の所有である」とか「原告は被告に対し金何万円の債務はない」というような主張をする場合である。判決によってそれらの法律関係が確定されると、その当事者間ではもはや争うことが許されなくなり、これによって紛争が解決されることになる。この裁判の手続全体を確認訴訟という。[内田武吉・加藤哲夫]

形成(創設)の訴え

一定の形成要件に基づく法律関係の変動(発生・変更・消滅)を主張する訴えである。たとえば、判決によって離婚(民法770条)や株式会社の総会決議の取消し(会社法831条)などを求める場合である。身分関係や社団関係については利害関係者が多いので、その変動は当事者間だけでなく第三者との関係でも画一的に生じさせる必要がある。そこで判決によって初めてその変動の効力を生ずることとしたのである。したがって形成の訴えは、法律の規定によって認められている場合に限り提起できることになっている。この裁判の手続全体を形成訴訟という。[内田武吉・加藤哲夫]

訴えの提起

訴えの提起は、訴状を裁判所へ提出するのが原則である。訴状には所定の必要事項(民事訴訟法133条、民事訴訟規則53条)を記載し、かつ訴額に応じた手数料を納付するため印紙を貼付(ちょうふ)しなければならない。なお、簡易裁判所へは口頭による訴えの提起も法律上は認められている。[内田武吉・加藤哲夫]

訴えの取下げ

前記のように起こされた訴えも、原告がその意思により訴えを取り下げると、確定判決に至らずに訴訟手続は終了する。すなわち訴えの取下げとは、訴えが提起されたあとに、もはや審理・判決を求めないという裁判所に対する原告の意思表示である。ただし被告が応訴態勢に入ったのちは、被告に原告の請求を棄却する判決を求める利益が発生するから、その利益を保護する必要がある。そのために原告が訴えを取り下げるには被告の同意を必要とする(民事訴訟法261条)。訴えの取下げがなされると、訴訟はその部分については、初めから裁判所に係属しなかったことになる。したがって上訴審で訴えの取下げがあると原審判決も効力を失うことになる。このように訴えの取下げによって訴訟はなかったことになるので、ふたたび同一事件について訴えを提起することは差し支えない。しかし本案について終局判決があったのちに訴えを取り下げた者は、無用な審理の反復と同一事件についての判決の矛盾を避けるために、ふたたび同一の訴えを提起することはできない(同法262条2項)。[内田武吉・加藤哲夫]

訴えの併合

訴訟が一つの訴訟手続で進行される場合、訴訟上の請求が単数で原告、被告が各1人であるのが訴訟の基本形態であるが、訴訟上の請求が数個の場合あるいは当事者の一方または双方が複数の場合も訴訟法上認められている。それは、当事者の負担を軽減して便宜であるし、関連した請求であれば審理の重複や裁判の矛盾・抵触を避けることができるからである。しかしこれを無制限に認めると審理が繁雑になり訴訟を遅延させることにもなるので、それぞれに合理的な併合の要件が定められている。1人の原告から1人の被告に対し、一つの訴えをもって当初から数個の請求をすることを「訴えの客観的併合」という(民事訴訟法136条)。売買代金支払請求と貸金返還請求を併合するような場合をはじめとして種々な形態がある。これに対し、数人の者が原告または被告として、一つの訴訟手続に対立関与している訴訟形態を「共同訴訟」あるいは「訴えの主観的併合」という(同法38条)。共同訴訟は、判決が共同訴訟人(同一の側にたつ当事者)ごとに区々になることが許されるか否か(合一確定の必要)および数人が一体として訴えまたは訴えられることが請求についての解決に必要であるか否か(訴訟共同の必要性)という観点から、「通常共同訴訟」と「必要的共同訴訟」に、さらに後者は「固有必要的共同訴訟」と「類似必要的共同訴訟」に分類されている。[内田武吉・加藤哲夫]

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世界大百科事典内の訴えの言及

【訴訟】より

… なお,現在でも,たとえば,労働委員会における不当労働行為の審査手続(労働組合法27条)や,公正取引委員会の審判手続(独占禁止法49条以下)などは,それぞれの行政委員会がその専門的立場から,ある程度訴訟に類似した手続構造をとって裁断を下すが,あくまでも行政機関による手続である点で訴訟とは区別される(行政審判)。
[訴訟と市民]
 訴訟は一方の当事者(原告,刑事訴訟では検察官)の判決を求める申立て(民事訴訟,行政訴訟では訴え,刑事訴訟では公訴)があってはじめて開始される。判断者である裁判所が自分から事件を探して取り上げるようなことはしない。…

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