ポンサーワダン(その他表記)phongsawadan

改訂新版 世界大百科事典 「ポンサーワダン」の意味・わかりやすい解説

ポンサーワダン
phongsawadan

タイ語による史書の一種で,〈王統史〉の意。狭義の〈王朝年代記〉を指す場合には〈プララーチャ・ポンサーワダン〉と呼ばれることが多い。もう一種のパーリ語ないしタイ語の史書である《タムナーンtamnan》が仏教史の枠組歴史叙述を行うのに対し,〈ポンサーワダン〉は王統の系譜を中心に国王治績を,かならずタイ語をもって叙述するのを特徴とする。王家交代などに際し,しばしば内容の修正が加えられることがあるため,批判的利用が必要である。〈ポンサーワダン〉という歴史叙述形式成立の契機は,はじめ17世紀における王権伸張西洋との接触に求められたが,より古い〈ポンサーワダン〉の断片の発見によりこの説は疑問視されている。広義の〈ポンサーワダン〉は《タムナーン》など他の史書をも含む雑多な歴史資料を指す。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android