2013年に登録された世界遺産(文化遺産)。16~19世紀に、ポーランドとウクライナにまたがるカルパチア山脈周辺に東方正教会とギリシア正教会の信者のコミュニティによって建設された16棟の木造の聖堂(ツェルクバ:Tserkva)。丸太を水平に組み上げていく「水平丸太組み技法」とも言うべき独特の建築方式で建てられたツェルクバは、東方正教会の聖職者の意匠から生まれた個性的な建築様式であり、これにカルパチア地方の伝統の諸要素が融合され、信者たちが信じる宇宙進化論のイメージも象徴的に反映されている。これらのツェルクバは、3つに区分けされた平面の上に、四角形もしくは八角形のドームやキューポラ(丸屋根の頂塔)をのせた形状で建造されている。ツェルクバになくてはならないのは、イコンで覆われた木製の壁と内部の多色装飾、そして、一連の由緒ある装飾品類で、鐘塔や中庭、墓地、門楼などにも価値が高いものが多い。◇英名はWooden Tserkvas of the Carpathian Region in Poland and Ukraine