改訂新版 世界大百科事典 「マチク」の意味・わかりやすい解説
マチク (麻竹)
Dendrocalamus latiflorus Munro
イネ科の大型のタケで,稈(かん)はイネの株のように固まって生える。稈は大きなものは直径20cm,高さ20mに達し,節ごとの枝の数は5本以上,稈の肉は厚い。葉は長大。花はまれに咲き,1株のすべての稈でなく一部のものに咲くことが多い。小穂は花軸に3~6個ずつ固まってつき,おしべは6本。主産地は台湾と南中国で,日本では鹿児島県の南部で生育する。稈は主として建築用に,生竹は観賞用にする。たけのこをゆでた後,乾かして発酵させたものがメンマ,マンミまたは支那竹(しなちく)で,中国料理に多く用いられる。稈の挿木でも繁殖できる。
同じ属のタケでD.giganteus Munro(英名giant bamboo)は,名前のように世界一の巨大なタケで,最大は直径30cm,高さ30mになる。たけのこが生えてから,3ヵ月余でこの大きさとなる。主産地はインドから東南アジア。またD.strictus Nees(英名solid bamboo)は稈は下方では中空でなく,木の竹とも呼ばれる。大きいものは直径8cm,乾燥したやせ地にもよく育ち,パルプ材として注目される。
執筆者:上田 弘一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報