マデイラ酒(読み)までいらしゅ(英語表記)madeira

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マデイラ酒」の意味・わかりやすい解説

マデイラ酒
までいらしゅ
madeira

ポルトガル領マデイラ諸島でつくられる酒。デザートワインであるが、甘い菓子を食べながら飲む習慣もある。

[原 昌道]

歴史

1418年ポルトガル人ザルコが上陸した際、うっそうと樹木に覆われた島のようすに、「樹木の島」という意味でマデイラと名づけたという。彼はこの樹木を燃やして畑にしたが、その灰のために非常に肥沃(ひよく)な土地になった。その後各国の入植者がやってきて、この地にサトウキビブドウを植えた。なお、ブドウ栽培はイギリス人、ウィリアム・ボルトンの手によって始められたといわれ、最初は甘味の強いワインがつくられた。

[原 昌道]

種類と製法

マデイラには淡色辛口から濃色甘口へと、ブドウ品種別にワインの性格の違ったものがある。たとえばセーシアルは辛口で淡色、香りが高い。ブアルはやや濃色でやや甘味があり、ベルデローはさらに濃色で甘口である。またマルムシーはマルボアシー種のブドウでつくったもので、特有の芳香があり色が濃く、甘口のワインでもっともよく知られている。

 製法は、まず果汁焼石膏(しょうせっこう)を加え酸度を高めたのち発酵を行い、発酵が終わるころにブランデーを添加して発酵を止める。このワインを大樽(たる)に詰め、室温を50℃まで徐々に高めたのち、約1~2か月放置する。この温熟の間に白ワインは色が濃くなり、マデイラ特有の香りになる。温熟後果汁にブランデーを補強したものを加えて甘味をつける。マデイラの高級品は特殊な籐(とう)巻きの瓶で知られる。

[原 昌道]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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