デジタル大辞泉 「甘口」の意味・読み・例文・類語 あま‐くち【甘口】 [名・形動]1 比較的甘みの強い、または塩分や辛みをおさえた味加減。また、そのもの。「甘口の酒」⇔辛口。2 甘いものを好むこと。また、その人。甘党。⇔辛口。3 人の気にいるような口ぶり。口先だけのうまい言葉。甘言かんげん。「甘口に乗せられる」4 穏やかに言うこと。なまぬるい言い方。また、そのさま。「甘口な批評」5 思慮が浅く、間が抜けていること。また、そのさま。「つりこまれるといふやうな―な事があるものか」〈滑・八笑人・四〉[類語](1)甘み・甘味・甘い・甘ったるい・甘美かんび・甘露・甘辛・甘辛い・甘酸っぱい・スイート/(2)甘党・右党・両刀遣い・盗人上戸・雨風 うま‐くち【▽甘口】 1 酒・味噌・醤油などで、甘みが勝っていること。また、そのもの。あまくち。2 人の心をとらえる巧みな言葉。巧言こうげん。「勧誘員の甘口に乗せられる」3 見かけの有利な仕事。 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例 Sponserd by
精選版 日本国語大辞典 「甘口」の意味・読み・例文・類語 あま‐くち【甘口】 〘 名詞 〙 ( 「あまぐち」とも )① 酒、みそ、しょうゆなどの食品の口あたりが甘いこと。また、そのもの。⇔辛口。[初出の実例]「霧はにこせと又京の水 菊の露甘口から口とりどりに〈元順〉」(出典:俳諧・見花数寄(1679))② 甘い味のものを好むこと。また、その人。下戸(げこ)。甘党。[初出の実例]「下戸の作者が甘口に、仮用(かり)て題号(なづけ)し英対暖語は、美言(せじ)で丸て艷画(うはき)で製本(こねて)、上餡(こしあん)の細かき真情」(出典:人情本・英対暖語(1838)二)③ ( 形動 ) 人の気をひくような言い方、言葉。口先だけのうまい言葉。また、そのような言い方をするさま。[初出の実例]「教も段々、甘口(アマクチ)を好(このむ)があれば、ぴんとしたを望もあり」(出典:談義本・当風辻談義(1753)五)「へへ、甘口(アマグチ)にも並べたな」(出典:歌舞伎・戻橋脊御摂(1813)三立)④ ( 形動 ) 優しい言葉。穏やかな口ぶり。[初出の実例]「おきゃあがれ、おれがさっきから甘口に言やあ付き上がりがして」(出典:歌舞伎・助六廓夜桜(1779))⑤ ( 形動 ) 状態がごくありふれていること。態度などが手ぬるいこと。また、そのさま。[初出の実例]「七生迄の勘当とはあまくち」(出典:談義本・当世下手談義(1752)二)「甘口な母が内証で借(かす)ステーラ 木一庵」(出典:団団珍聞‐二五号(1877))⑥ ( 形動 ) 間が抜けていること。思慮の浅はかなこと。また、そのさま。お人よし。愚鈍。[初出の実例]「越中屋善次郎とて、ちとあま口な男なれば」(出典:浮世草子・諸道聴耳世間猿(1766)五)甘口の語誌多く用例が見られるのは江戸中期以降で、当時から⑤のような比喩的な用法で用いられている。しかし、既に平安時代中期に「甘口」を語構成上の成分とする「あまくちねずみ(甘口鼠)」(「新撰字鏡」「和名抄」など)という語も見えることから考えると、「あまし」からこの語が派生したのはさらに早い時期であろう。 うま‐くち【甘口・旨口】 〘 名詞 〙① 酒、みそ、しょうゆなどの味があまいこと。甘みの多いこと。あまくち。② 人の心をとらえる、うまいことば。巧言(こうげん)。③ 有利な仕事。 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例 Sponserd by