マデイラ諸島(読み)マデイラショトウ(その他表記)Arquipélago da Madeira

デジタル大辞泉 「マデイラ諸島」の意味・読み・例文・類語

マデイラ‐しょとう〔‐シヨタウ〕【マデイラ諸島】

Madeira北アフリカモロッコ西方、大西洋上にある諸島ポルトガル領。主島はマデイラ島で、中心都市フンシャルがある。観光・保養地ブドウ栽培が盛んでワインを産する。また、マデイラ島に見られる、月桂樹などの照葉樹林(ラウリシルバ)は、氷河期以前の植生の姿をとどめる原生林であり、1999年に「マデイラ諸島のラウリシルバ」として世界遺産(自然遺産)に登録された。

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精選版 日本国語大辞典 「マデイラ諸島」の意味・読み・例文・類語

マデイラ‐しょとう‥ショタウ【マデイラ諸島】

  1. ( マデイラはMadeira ) モロッコの西方約七二〇キロメートルの大西洋上にある諸島およびその主島。ポルトガル領。マデイラ島・ポルト‐サント島のほかは無人島。気候温暖で風光明媚な観光・保養地。マデイラ酒サトウキビを産出。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「マデイラ諸島」の意味・わかりやすい解説

マデイラ諸島
までいらしょとう
Arquipélago da Madeira

リスボン南西約1000キロメートルの大西洋上にあるポルトガル領の島々。北緯32度38分、西経16度54分に位置する主島マデイラ島をはじめ、有人のポルト・サントPorto Santo島、無人のデゼルタス島、セルバージェンス島からなる。総面積796平方キロメートル、人口25万7822(1981)。人口の大部分はマデイラ島に住む。マデイラ島は最長部57キロメートル、最大幅22キロメートル、面積741平方キロメートル。リスボンからは飛行機で約1時間でマデイラ島南岸の中心都市フンシャルに至る。同諸島は第四紀ごろの火山活動と隆起運動により形成されたものとされ、4000~5000メートルの深海から急に立ち上がっている。最高点はマデイラ島のルイボ・デ・サンタナ山(1861メートル)。平均気温は7月22℃、1月16℃、年降水量552ミリメートルと気候温暖で、観光地、とくに避寒地として知られ、「大西洋の真珠」とよばれる。住民はポルトガル、スペインなどのヨーロッパ系とアフリカ系の人種が混合している。南アメリカなどへの出稼ぎが多い。ブドウ、サトウキビのほか、バナナなどの熱帯果物を産し、とくにマデイラ酒は古くから有名で、シェークスピア(『ヘンリー4世』第二部)にも言及がある。ほかにヤナギの枝編み細工、マデイラ刺しゅうなどの工芸品が知られる。

[田辺 裕・柴田匡平]

歴史

マデイラ諸島の存在はすでに14世紀には知られており、アフォンソ4世の送った探検隊によってもその存在が確認された。1418年から始まったジョアン・ゴンサルベス・ザルコとトリスタン・テイシェイラの探検によって、同諸島のポルトガル領有が決定した。1433年同諸島はエンリケ航海王子に譲渡されてカピタニア制とよばれる一種の領主制が生まれ、本格的な植民が始まった。シチリア島からサトウキビがもたらされ、15世紀末までに同島の主要産業となり、ヨーロッパの砂糖市場を支配した。ブラジル産の砂糖が優勢になると、かわってワイン生産が盛んとなり、マデイラ・ワインとして知られるようになった。しかし、その取引は中心都市フンシャルに定着したイギリス人に牛耳(ぎゅうじ)られた。18世紀にはマデイラ島は人口過剰となったため、ブラジルへの移民が始まった。同島は大西洋上の要衝にあるため、ことにフンシャル港はスエズ運河が開通する1869年までケープ経由航路の重要な寄港地であった。

[金七紀男]

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改訂新版 世界大百科事典 「マデイラ諸島」の意味・わかりやすい解説

マデイラ[諸島]
Arquipélago da Madeira

ポルトガル領〈隣接諸島〉。首都リスボンの南西約1000km,アフリカ沿岸から796kmの大西洋上に位置する。総面積779km2,人口24万5011(2001)。行政的には〈自治地方〉をなし,フンシャル県と呼ばれる。マデイラ島,ポルト・サント島,およびデゼルタス,セルバージェンの小群島からなる。全島が火山島。マデイラ島(728km2)が最大で総面積の92%を占める。気候はきわめて温暖。マデイラ島の主都フンシャルFunchalの年平均気温は18.8℃,年間降水量は552.3mmと少ない。雨は冬に集中し夏は乾燥する。1420年ごろポルトガル人により発見され,数年後植民が行われてからサトウキビ,ブドウ,小麦の栽培が盛んとなり,砂糖が重要な貿易品となった。発見以来,南アメリカ,アフリカとポルトガルを結ぶ航路の中継港として重要な役割を果たした。最高峰ルイボ峰(1862m)を頂点とするマデイラ島は無数の谷が刻まれた南北に広がる急斜面をもつ。山の斜面は階段状の畑地に開墾,整備され,灌漑も進んでいるが,耕地の開発はすでに限界に達している。土地は細分化され,小土地所有に基づく農業がマデイラ島の主要産業である。高度に応じてさまざまな作物が栽培され,主要作物はサトウキビ,ブドウ,トウモロコシ,小麦など。バナナ,マンゴーなど熱帯性の果樹も栽培される。良質のブドウを原料とする甘味酒マデイラ酒は同島の特産として名高い。ヤナギの枝を用いるさまざまな細工物,マデイラ刺繡も有名で,漁業も盛んである。豊かな自然景観,温暖な気候により,ヨーロッパ諸国からの観光客も多く,とくに避寒地として有名。1年を通じて海水の温度は18℃~20℃と高く,冬でも海水浴が可能である。主都フンシャルは空路,航路でリスボンと結ばれ,南北アメリカ,アフリカとヨーロッパを結ぶ交通の要地として重要な役割を果たしている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マデイラ諸島」の意味・わかりやすい解説

マデイラ諸島
マデイラしょとう
Arquipélago da Madeira

北大西洋にあるポルトガル領の火山諸島。 1976年より自治地方。中心都市はフンシャル。リスボンの南西約 1000kmに位置する。マデイラ島,ポルトサント島は人間が居住するが,デゼルタス,セルバジェンスの2島は無人島。 1351年のイタリアの地図にすでに記載され,15世紀初頭にはエンリケ (航海王子)の指揮のもと植民地として開発された。雨の少ない温暖な気候と美しい景色に恵まれ,保養地,観光地として有名。最大のマデイラ島ではのこぎり状の山脈が島の中央を東西に走り,支脈が海岸に迫って断崖をなす。マデイラ島の照葉樹林は 1999年世界遺産の自然遺産に登録。有名なマデイラ酒をはじめ,サトウキビ,サツマイモ,タマネギ,穀類を産する。オレンジ,バナナ,マンゴーなどの果樹も栽培され,刺繍,枝編み細工の家具や籠も生産される。住民はポルトガル系。面積 794km2。人口 26万 2694 (1991推計) 。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「マデイラ諸島」の解説

マデイラ諸島(マデイラしょとう)
Madeira

大西洋上のポルトガル領。1420年代から植民が開始される。サトウキビ栽培が導入され,大西洋アメリカにおける砂糖プランテーション発展の先駆けとなった。マデイラ酒と称される独特なワインでも有名。

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世界大百科事典(旧版)内のマデイラ諸島の言及

【大航海時代】より

…そして49年にはブランコ岬近くのアルギン島に最初の商館が開設された。 一方,これと並行して大西洋のマデイラ,アゾレス両諸島にも植民が行われた。これらの島々ではサトウキビやブドウがプランテーション方式で生産され,アフリカ西海岸で入手した黒人奴隷が使用された。…

【ポルトガル】より

…正式名称=ポルトガル共和国República Portuguesa面積=9万2082km2(マカオは含まない)人口(1995)=1080万人首都=リスボンLisboa(日本との時差=-10時間)主要言語=ポルトガル語通貨=エスクードEscudoイベリア半島南西部の一隅を占める大陸本土と,大西洋上のマデイラ,アゾレス両諸島とからなる共和国。そのほか中国に海外領土澳門(マカオ)(面積16km2)を領有する。…

※「マデイラ諸島」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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