マハラノビス(読み)まはらのびす(その他表記)Prasanta Chandra Mahalanobis

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マハラノビス」の意味・わかりやすい解説

マハラノビス
まはらのびす
Prasanta Chandra Mahalanobis
(1893―1972)

インドの統計学者。カルカッタ大学ケンブリッジ大学で学び、カルカッタ(現、コルカタ)のプレジデンシー・カレッジの物理学教授になり、1931年にはインド統計学研究所を設立した。彼は、統計学研究者として多くの業績をあげるとともに、インドの全国標本調査National Sample Surveyの基礎を確立するなど、統計学の理論応用両面で多大な貢献を行った。さらに、インド五か年計画の策定に従事し、資本財生産部門と生産財生産部門からなる2部門分割モデルにおいて、資本財生産部門への優先的投資を行うことによって、経済が長期的にはより急速に成長することを主張した。このマハラノビスの理論は、インドの経済計画立案に大きな影響を与えるとともに、より広く、発展途上国の重工業優先の経済発展モデルとして注目されてきた。

[柳沢 悠]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マハラノビス」の意味・わかりやすい解説

マハラノビス
Mahalanobis, Prasanta Chandra

[生]1893.1.29. カルカッタ
[没]1972.6.28. カルカッタ
インドの統計学者。カルカッタ大学,ケンブリッジ大学で物理学を学んだ後,カルカッタのプレジデンシー・カレッジの物理学教授 (1922~45) ,同学長 (45~48) 。この間兼任していたカルカッタ気象台での仕事から統計学にかかわり,1931年に自ら設立したインド統計研究所で統計理論とその応用面で多大の業績をあげ,統計学におけるインド学派の確立に貢献した。 33年には統計学の専門雑誌"Sankhya:Indian Journal of Statistics"誌を創刊。統計理論ではいわゆる「マハラビノスの距離」が有名だが,一方 49年以降政府の統計顧問や国民所得委員会委員長などを歴任し,特に 56年からのインドの第2次5ヵ年計画の策定では,ソビエト型社会主義にならった彼の原案が「マハラビノス勧告案」として有名になった。統計学以外の著書には『計画について』 Talks on Planning (61) がある。

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