マムルーク朝美術(読み)マムルークちょうびじゅつ(その他表記)Mamlūk art

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マムルーク朝美術」の意味・わかりやすい解説

マムルーク朝美術
マムルークちょうびじゅつ
Mamlūk art

13世紀後半から 16世紀にかけてエジプトシリアで繁栄したマムルーク朝イスラム美術。建築は一般に中庭式で,モスクマドラサ,廟などを複合化した例が多い。装飾はさまざまな色の大理石を組み合わせたり,ステンドグラスを使うなど色彩が豊富。スタラクタイトも頻繁に用いられた。スルタン・ハサン・モスクとマドラサやスルタン・カーイト・ベイの諸建築などがその代表例である。工芸の装飾文様は幾何学文,植物文,文字文が主要なモチーフとなり,強い抽象性を表現した。ペルシア的な多彩刻線文陶器や中国的な単色の青釉陶器などが盛んにつくられた。エナメル彩ガラス,金属細工が優れ,モスク・ランプに優品がある。ダマスカスラグと呼ばれる幾何学文の絨毯も織られた。

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