改訂新版 世界大百科事典 「マライヤマネコ」の意味・わかりやすい解説
マライヤマネコ
flat-headed cat
Felis planiceps
前頭部が平たんでいわゆるネコらしくない顔つきのヤマネコ。食肉目ネコ科の哺乳類。マレー半島,スマトラ,ボルネオに分布。体長41~50cm,尾長13~15cm,体重1.5~2.5kg。体つきはずんぐりしており,四肢は非常に短く,前後の足は小さい。つめは完全に引き込めることができず,つねに外に出ている。体背面は赤褐色から暗褐色で,上毛の毛先が白く,霜降り状を呈する。腹面は白い。森林に単独ですみ,川,湿地,沼地などの水辺を好む。夜行性で,林床を歩き回り,カエル,魚,甲殻類を捕食する。鳥はとらない。習性などはほとんど知られず,飼育下の若い個体が浅い水の中で何時間も遊び,アライグマのように物を〈洗う〉ようなしぐさをすることが観察されている。寿命は飼育下で6年以上。生息数は非常に少ないとみられ,国際自然保護連合(IUCN)では本種を調査対象動物にあげている。
→ヤマネコ
執筆者:今泉 忠明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報