改訂新版 世界大百科事典 「マルガレテ」の意味・わかりやすい解説
マルガレテ
Margarete
生没年:?-303
4世紀初め,ディオクレティアヌス帝の迫害で殉教したとされる伝説的聖女。マルガレタMargaretaともいい,東方ではマリナMarinaと呼ぶ。アンティオキアの異教の祭司の娘。乳母の影響でキリスト教徒となり,総督の求婚を断ったため投獄された。竜となって現れた悪魔にのみ込まれたが,手にしていた十字架が大きくなって(手で十字を切ったとの説もある),竜の腹を裂き,無傷でのがれた。拷問の末首を切られたが,その際とくに,出産の苦痛から婦人たちが救われるよう祈ったと伝えられる。これらの理由で,安産の守護聖人とされる。伝説から,ゲオルギウスに助けられた王女と同一視されることもある。中世以来よく美術に表され,持物は,伝説にちなんだ十字架,たいまつ,くし,剣,その名が意味する真珠など。竜か悪魔をふみつけていることが多い。バルバラ,アレクサンドリアのカタリナと3人で描かれることもある。祝日は7月20日(東方では7月17日)。
執筆者:井手 木実
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報