マルティン・サントス(読み)まるてぃんさんとす(英語表記)Luis Martín Santos

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マルティン・サントス」の意味・わかりやすい解説

マルティン・サントス
まるてぃんさんとす
Luis Martín Santos
(1924―1964)

スペイン小説家。サラマンカマドリード両大学で医学を修めたのち、精神科医として治療にあたる。医業のかたわら手がけた小説『沈黙の時』(1962)によって一躍注目された。これは1949年ごろのマドリードを舞台に、若い有望な医師が社会の犠牲となって身を持ち崩し、ついには都会から逃避せざるをえなくなるまでの過程を描く小説で、当時のスペイン社会の病根を鋭くえぐり出した作品として高く評価された。スペイン現代文学に新しい展望を開く作家として将来を嘱望されたが、交通事故のため40歳の若さで没した。死後未完の小説『破壊の時』(1973)が発刊された。

[東谷穎人]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

大臣政務官

各省の長である大臣,および内閣官房長官,特命大臣を助け,特定の政策や企画に参画し,政務を処理する国家公務員法上の特別職。政務官ともいう。2001年1月の中央省庁再編により政務次官が廃止されたのに伴い,...

大臣政務官の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android