マーンドゥーキヤ・カーリカー(英語表記)Māṇḍūkya-Kārikā

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

マーンドゥーキヤ・カーリカー
Māṇḍūkya-Kārikā

インドのガウダパーダの著わした哲学詩頌。7世紀中頃成立。『マーンドゥーキヤ・ウパニシャッド』の趣意を説明するために書かれたものであり,別名『聖伝書』 Āgama-śāstraとも呼ばれ,4章 215頌から成る。現象界は夢のなかで経験する事物と同様に虚妄であると説き,現象界の差別相を否定する。また大我を虚空に,個我を瓶の中の空間にたとえ,両者が本来不二であることを論じる。ウパニシャッドに説かれている種々の教示の違いは,真理を悟らせるための仮の方便であるとする。さらに,たいまつを振って旋回すると闇の中に種々の相が現じるように,一切の現象は識の顕現したものであるとし,万有の不生不滅を論じ,因果を否定する。大乗仏教の影響が認められる書。

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世界大百科事典(旧版)内のマーンドゥーキヤ・カーリカーの言及

【ガウダパーダ】より

…弟子がゴービンダ,そのまた弟子がシャンカラと伝えられている。彼に帰せられる《マーンドゥーキヤ・カーリカーMāṇḍūkya‐Kārikā》(別名《ガウダパーディーヤ・カーリカー》)には,覚醒時に経験する現象界は,夢で経験する世界と同じく虚妄であり,真実は不二advaitaであり,個我とアートマンは不異であると,不二一元論が初めて明らかに述べられている。後の章になるほど仏教的色彩が濃く,特に最終章では,世界は識vijñānaの顕現したものであると,仏教瑜伽行派の〈唯識無境〉〈識の転変〉説に酷似した説が見られる。…

※「マーンドゥーキヤ・カーリカー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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