改訂新版 世界大百科事典 「ミエリ」の意味・わかりやすい解説
ミエリ
Aldo Mieli
生没年:1879-1950
イタリア生れ,のちフランス,アルゼンチンで過ごした科学史家。ピサ大学で初め化学を学び,ローマ大学に化学者として奉職,1908年同講師となる。しだいに科学史・科学哲学的な研究に関心を示し,この分野の設立期を担う一人となった。12年科学史の国際的学術誌《アイシスIsis》がG.A.L.サートンの手で創設されるや,同誌のイタリアの編集者となり,さらに,いくつかのイタリア語の雑誌を刊行して,科学史,科学哲学を学問として認知させることに力を尽くした。28年パリに移り,サートン,C.J.シンガー,K.ズートホフ,L.ソーンダイクらと国際科学史委員会を形成,その事務局長として29年第1回国際科学史学会の開催を成功させた。この会議において国際科学史学会Académie Internationale d'Histoire des Sciencesが発足し,ミエリはその初代会長となった。39年からアルゼンチンに移住し,サンタフェ国立大学で科学史を講義。晩年は職を失い,病気がちで失意のうちに死んだ。
彼の1919年に始めた学術誌《科学史文献誌Archivio di storia della scienza》は25年《アルケイオンArcheion》と改称されたが,29年,国際学会の発足と同時に正式の機関誌となり,《Archives internationales d'histoire des sciences》と再改称されて今日に伝わり,また,浩瀚(こうかん)な科学史の大著《科学史通覧Panorama general de historia de la ciencia》を計画し,生前その2巻までが刊行され,死後,12巻として完結した。
執筆者:村上 陽一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報