日本大百科全書(ニッポニカ) 「ミスジオクメウオ」の意味・わかりやすい解説
ミスジオクメウオ
みすじおくめうお / 三筋奥目魚
spotted gelatinous cusk
three-banded aphyonid
[学] Barathronus maculatus
硬骨魚綱アシロ目ソコオクメウオ科に属する海水魚。日本からは相模湾(さがみわん)、土佐湾、沖縄舟状海盆(しゅうじょうかいぼん)(トラフ)、それ以外にオーストラリア南東岸、南アフリカ、マダガスカル島の海域に分布する。体は細長く、やや側扁(そくへん)する。皮膚が柔らかくて、鱗(うろこ)がなく、ほとんど透明。目は退化し、皮下に埋没する。両顎(りょうがく)の前半部に絨毛(じゅうもう)状の歯帯がある。上顎の後半部に歯がないが、下顎の後半部に4~5本の犬歯状の歯がある。鋤骨(じょこつ)(頭蓋(とうがい)床の最前端にある骨)に1対の犬歯がある。腹びれは1軟条で、前鰓蓋骨(ぜんさいがいこつ)後縁下方から始まる。体はほとんど透明で、体側に2条の暗褐色帯があり、側線上のものは鮮明である。腹膜は黒い。雄は大きな陰茎が突出し、その上下基部に交接器がある。仔魚(しぎょ)を産む卵胎生魚。全長は約18センチメートルになる。水深400~1500メートルの深海底に生息する。きわめて珍しい種である。
[尼岡邦夫 2016年10月19日]